二〇二四年自由のひろば 最優秀作品・優秀作品
二〇二四年自由のひろば 最優秀作品・優秀作品 最優秀作品 蟻 坂田敬子 友達から耳よりの話をきいた ほんとうだろうか 巷に選挙カーが走っている うわさはそれより…
二〇二四年自由のひろば 最優秀作品・優秀作品 最優秀作品 蟻 坂田敬子 友達から耳よりの話をきいた ほんとうだろうか 巷に選挙カーが走っている うわさはそれより…
2024年11月号 夏休み 倉橋謙介 八月のお盆過ぎ 久しぶりに所沢の友人を訪ねる 駅まで迎えに来てくれた車を降りて 玄関へ向かう前 同乗していた五歳の娘さん…
●自由のひろば年間表彰 〈最優秀作品〉 加澄ひろし「惨劇」(6月号) 〈優秀作品〉 橋本敦士「銀河カブ」(7月号) 坂田敬子「信濃村開拓団」(3月号) 木崎善夫…
●二〇二二年自由のひろば 最優秀作品・優秀作品 〈最優秀作品〉 すれ違う 滋野さち 大雪の日にスルリとすれ違った胞衣は 燃されて信濃川を流れて行ったのか。 シ…
●自由のひろば 夜明け 加澄ひろし 一瞬の出来事であった 黄金色の光のひろがりが たまらぬ眩しさを放ち 空のすべてを覆いつくした なにもかも、かがやきわたり …
●自由のひろば 夢の中の子供 壱貫亨治 暮らしを紡いでいた 坂道ばかりの街 嫌いだ嫌いだと 日毎夜毎に言っていた そんな月日も それなりの思い出として 過ぎる…
●自由のひろば エキストラ 木崎善夫 聞こえても聞こえなくてもいい台詞が また 路上に落ちていく 風に舞い上がることもないまま 落ち葉といっしょに集められる …
帰り道 村口宜史 青空を背にした 大きい、大きい水たまり 空を渡るように 長ぐつの少年がゆく 放課後の あんなに長かった 帰り道 すべてが、鮮やかな夏 青空を…
風の道 佐藤一恵 盛夏 日差し避け 車ごと逃げこむ 大きな木の下 ドア全開で 本ひらく昼休み 木蔭わたる風は 線路の向こうの 名も知らぬ白い花の香り 連れてく…
風のさかな ななかまど 雨が過ぎて ベランダに洗濯物を干す。 影が部屋中を踊る ぶわり。ふわり。バサリ、バサバサ。 風の中を泳ぐさかなのよう。 とりわけ大き…
●自由のひろば あの夏のこと 三村あきら 冷たいものを控えるよう医者にいわれた 生ビールの飲みすぎか腹をだして寝たからか 仕事を終れば炎暑のなかのたまり水 渇…
手ざわり 御供 文範 手ざわりのある 生活をしたい 五感でふれるざわつき いつものような さわれることができ こわれそうでも やわらかさがあり つつみこみ 抱…
●自由のひろば 2021.4月号 落ち武者 ゆきのさきこ この辺りが古戦場であったことは知っていた 四十年前子供二人連れて引っ越して来た ある夜目を覚ますと 部…
●自由のひろば 2021.3月号 ヒコクミン ひだかよし 会うたびにしなやかに成長している 孫たちの姿 それに元気をもらいながら 心の自由がなかった時代の …
●2月号 自由のひろば作品 そっぽ 岡村直子 いつのまに まわりにひとがいなくなった かくれんぼのように わたしだけがのこった だれもが じぶんのことで せいい…
●1月号 自由のひろば作品 フレームアウト 木崎善夫 こんなところに空がある 水たまりに映る空がある 察するに上空は……晴れ 察するに青い……碧い……空 …
●自由のひろばトップ あおぞらの詩 小篠真琴 あおいろのそらの向こう側 太陽がうつむき加減を失くしていくとき きみは、あおいそらの切れ端を くちびるで押さ…
●自由のひろばトップ 一羽の鳥 青木まや 林檎やイチゴを食べにくるヒヨドリは 農家にとっては困った鳥だが 美食家らしい それよりも何よりも いつも二羽で動き回…
●自由のひろば 乳房の重さ 御供文範 その夜 ぼくは母と風呂に入った 裸電球一個の薄暗い風呂場の湯船から 雪舞いのように湯けむりがゆらめき 時折 冷たい隙…
自由のひろば アゲハ蝶と私 サトウアツコ ことし最初に みかけたアゲハ蝶は道端に落ちている 買い物からの帰り道 このままじゃつぶされちゃうよ 迷うことなく…