2021年2月号 特集 海外詩

2021年2月号 特集 海外詩

●もくじ

特集 海外詩
西サハラ   西サハラとパレスチナの間
――西サハラ政治囚への連帯メッセージ  長沢美沙子 52
アメリカ   アメリカ日系移民の詩と人権告発  水崎野里子 62
韓  国   詩集が読まれる街のフェミニズム詩人・文貞姫  佐川亜紀 66
中  国   「一人一人が詩人」状況だが  石子順 72

 

新春作品特集
うえじょう晶 会いたいよ 4  いいむらすず いつものようにさりげなく 5
野口やよい いわし雲 6  河合政信 光を折り曲げる 7  岩堀純子 空に、地上に 8
織田英華 湖とタロウと私とコロナ 9  丸山乃里子 稲荷小路 10
北島理恵子 角筈一丁目陸橋の上 11  青木みつお カルーセル・エルドラド 12
玄原冬子 冬のひかり 13  田上悦子 姫女苑 14  斗沢テルオ 我が人生の公文書記録 15
風野真季 夕明り 16  たなかすみえ トゥレサイクルの木 17  坂田トヨ子 歌う父 18
こまつかん 生きたい 19  春山房子 耳を澄ませば 20
千葉昌秋 蝸牛の歩みをきょうも 21  あさぎとち 森のベッド 22  大釜正明 転院 23
彼末れい子 診察室 24  三浦健治 ときどき思い出す愛 25  武田いずみ 挨拶 26
檀上桃子 桜の流れ星 27  清水マサ 警告 28  永山絹枝 みのむしの快気 29
滝本正雄 「漁り火」の輝きを求めて 30  佐相憲一 捜査本部の鏡 31
青井耿子 忘れない 32  山田よう ハ虫類おじさんの ガスの弁 33  佐藤誠二 流転 34
奥田史郎 停車場の風景 35  上山雪香 穏やかな波の上で 36
吉村悟一 「自助」「共助」の後 27  白根厚子 優しい心のボール 38
田辺修 新たな命 39  遠藤智与子 小さな同居人 40  あべふみこ 残すもの 41
白永一平 釣りおじさんと猫 42  いだ・むつつぎ きれいな道は米軍基地だった 43
魚津かずこ 信じよう、じぶん 44  田島廣子 閉める 45  あらきひかる 曇天 46
光谷公男 見たい景色 47  大西はな 告白する 48  池田久雄 前ってどっちだ 49
北村真 指さし 50  榊次郎 腐界からの主役たち 51

 

書評
宇宿一成 笠原仙一詩集『命の火』 88  永冨衛詩集『流れる』 88
なかむらみつこ詩集『多分 日記は1行で足り』 89  青木みつお詩集『下町相談デリバリー』 89
都月次郎 床嶋まちこ詩集『心ほっこり』 90  野口やよい詩集『天を吸って』 90
南浜伊作 長谷川節子詩集『春よ来い』 91  杉本一男 加藤徹詩集『見つめる先へ』 91
熊井三郎 佐藤文夫著『日本賭博史 概論』 92  横浜詩人会議編『詩とエッセイで綴る 船方一の世界』 92

 

三浦千賀子小詩集  美しい季節/伝令/受け入れる/好きな仕事/ビッグイシュー販売人と 80

私の推す一篇 1月号 93

地下室の窓 米国の「断末魔」は続く  徐京植 84

詩作案内 わたしの好きな詩 吉田加南子  長谷川縁 94

詩作入門 自由に、多様に、美しく  佐々木洋一 96

現代詩時評 赤ままを歌ってもよい 上手宰 98
詩  集  評 日常の何気ない風景 魚津かずこ 100
詩  誌  評 コロナ禍に負けず持続するポエジー 高田真 102
グループ詩誌評 時代と民衆のすぐれた代弁者 宍戸ひろゆき 104

自由のひろば 選・草野信子/都月次郎/おおむらたかじ 106
岡村直子/有原悠二/御供文範/ななかまど/髙橋宗司/新見かずこ/サトウアツコ

詩人会議通信 115 ●表紙/扉カット/表紙のことば 宮本能成 120 編集手帳 120 ビキニデーin高知 表3


●新春作品

会いたいよ
うえじょう晶

春に
そう、この街かど あいたいよ
壁一面のグラフィティ
公園のベンチ あいたいよ
噴水で水浸し あいたいよ
鳩を追っかけまわし あいたいよ
レモンを齧り あいたいよ
頬なぜる優しい風 あいたいよ

夏には
心はやる 入道雲
青空が果てしなく あいたいよ
自転車でどこまでも あいたいよ
花火が上がり あいたいよ
蛍を追って あいたいよ
寝ても覚めても あいたいよ
会えるうちに あいたいよ

秋だね
月夜の晩は あいたいよ
浜辺で釦を見つければ
なおさらなおさら あいたいよ
いつでも素足 あいたいよ
冷たい手足 あいたいよ
風の訪れ あいたいよ
カイロもあるから あいたいよ

冬は
荒磯釣りの魚拓 あいたいよ
踝のタトゥー あいたいよ
蜜柑で染まった黄色い掌
炬燵の背中 あいたいよ
写真の笑顔 あいたいよ
会えるうちだね 会いたいよ
会えなくなっても 会いたいよ
会えないからこそ 会いたいよ

 

 

●編集手帳

☆海外詩の特集は、2002年の2月号からですが、海外の多様な作品を紹介し、詩人との交流も模索してきました。
今号は、長沢美沙子、水崎野里子、佐川亜紀、石子順のみなさんにご執筆いただきました。
長沢さんの〝私たちは知りませんでした〟と、西サハラの政治囚たちにむけてのメッセージは、ご自身へ勇気を求める眞実さに充ちていて、心に突き刺さります。水崎さん紹介の日系移民のノブコの詩「あなたは何人?」のおわりの2行〝もしここが嫌いなら/帰ったらどうだ?〟も深く考えさせられます。共に〝大事にすべき事は何か〟を問いかけます。
☆言葉がいかに重要なものか。菅首相の答弁を聞いていると、つねに原稿を読むだけです。他者に対して語りかける言葉がないのです。〝Go To トラベル〟や〝学術会議任命拒否〟問題も、国民を軽視し、対話を拒否する自己愛だけがみえます。
☆異なる考えを認めない思想を拒否します。共に力を合わせましょう。(秋村宏)

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