40回(2012)『生きものたち』秋村宏

40回(2012)『生きものたち』秋村宏

略歴

一九三一年、東京・東村山市に生まれる。「現代詩の会」「炎」「詩組織」などを経て「詩人会議」へ。事務局長、月刊詩誌『詩人会議』編集長を経て二〇〇七年~二〇一一年まで運営委員長。その間、詩朗読集団「赤提灯」、「熱気球」、「Coe」に所属。また地域の図書館建設運動、東村山市図書館協議会委員(長)にも永年たずさわる。詩人会議、日本現代詩人会会員。詩集『実用的研究』、『夜のための歌』。共著『詩作の対話』。オペレッタ「貧乏神」、「お月さんももいろ」ほかの台本。新聞のテレビドラマ評を四〇年来担当。

 


受賞のことば

望みはこれから 秋村 宏

八〇歳になった年に第四〇回壺井繁治賞をいただきました。ありがとうございます。選考委員の方、詩人会議会員のみなさんにお礼を申し上げます。この五〇年近く、詩人会議以外のことに強い関心をもつことなく過ごしてきましたので、特にこのような気持ちをもつのかもしれません。このことを初代運営委員長だった壺井さんに報告したいと思います。
毎年、壺井さんの九月の命日には、東京・小平霊園に行き、一年間の報告をしていましたが、今年はじぶんのこともすこしいえそうです。ぼくが五〇年近く詩人会議にいるのは、壺井さんに会ったからです。あの頃、戦争責任問題などで批判されていた壺井さんと話し、詩人たちに喧伝されていた姿とは違った誠実な人柄にふれ、詩人会議への入会を決めました。
そこで〝詩の大衆化〟という考えにもあい、戦後の詩の流れのなかで、詩運動は可能だろうか、という課題を壺井さんに与えられた、と思うようになりました。そしていまはそのことを強く考えています。プロレタリア詩運動の精神を引きつぎ、それを新しく展開する。それは、いま暮らしている人々の心のなかにあるおもいを言葉にし、それを他者に伝えていくこと。その役割を荷うのが運動なのではないか、と。
そのなかで矛盾に満ちた生きものであるじぶんの総体を明らかにしたいとも思っています。ですからぼくの詩は生活記録風です。詩になりえないのではないか、というおもいがつねにあります。
けれど一方では、いまの詩からはみだしたなにかを求めてもいます。
尊敬する先人たちのように、権力と闘い、その行ないのなかから言葉を生みだしたい。その望みを強くもっています。まだこれからです。

 


 


 


 


 


 

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