2023年7月号 特集 短詩――111人集

2023年7月号 特集 短詩――111人集


●もくじ

特集 短詩――111人集
秋村宏 生きる
青木みつお ブラームスの涙
秋野かよ子 無題
青井耿子 老人ホームのベッドで
秋山陽子 夢の中で
あさぎとち うたごえ
あべふみこ お祝い
雨野小夜美 夜中想
池澤眞一 マスゴミ
飯泉昌子 チャットGPT
いいむらすず 天気予報
杏田口右左右 千人針
池島洋 失礼
池田久雄 自在
石関みち子 タンポポ
伊藤眞司 極微な虫
乾茂雄 みぃーつーけーた
妹背たかし 冬眠中の会話
いわじろう 亡き先輩からの助言
岩根英則 それでも
浦西登 樹
宇宿一成 出航
梅津弘子 のっそりと
植田文隆 それでもと
遠藤智与子 喪失にサヨナラ
大木武則 アガパンサスの花
大久保せつ子 望郷
大杉真 最後のとき
大西はな 四月
おおむらたかじ 雉の春・ともだち
奥田史郎 もっとエライ人
小田凉子 芽を抱え
加藤三朗 希望
加藤徹 この道
上手宰 中毒症状
河合政信 どいつもこいつも
北沢美佳 雨の楽器
木村孝夫 爪を切る
救愛 幼稚園送迎バス
熊井三郎 立憲共産党
小泉克弥 印象
小林信次 リスペクトする
こまつかん いのち
呉屋比呂志 近江・須賀谷温泉のぬくい湯
坂田トヨ子 ひらく
佐藤誠二 ヒマワリ油
佐藤和英 前進
西明寺多賀子 禁止令
志田昌教 大谷くん狂騒曲
柴田三吉 詩
清水マサ 夕日
菅原健三郎 春の陽に
清野裕子 登校仲間
瀬野とし うた
平由美子 ミラクル
高嶋英夫 蝶
高田真 パチン
高細玄一 市場と大漁旗
滝本正雄 「核のゴミ」処分場事故の責任
田島廣子 …ある精神病院
塚田英子 心
田辺修 阿児奈波
玉川侑香 行列
たなかすみえ 新型は
都月次郎 あなたから
照井良平 天女
床嶋まちこ ふとした時に
斗沢テルオ 時代の中の歴史の子
豊田智慧子 神経痛
永井秀次郎 学校
中村明美 ナニャドヤラ
野川ありき 生きる
浜本はつえ 宙から
橋本敦士 立春
ハマダ・テツロー ポチになったソーリ
狭間孝 蜜蜂の分蜂
春街七草 ほっこりする風景
春山房子 ゆったり
平和ねんじ 四月の菜園
松村惠子 老害
水衣糸 まいあがれ
光谷公男 二〇二三年 春
御供文範 天なるものへ
三村あきら 五輪ノ書
村田多恵子 ご期待には添えかねます
森田和美 ながれぼし
南浜伊作 風の道
山崎由紀子 庭園
山﨑芳美 ありきたりでないふるさとの春
やはぎかのう 星雲になろうと
山田みとり 現場から 二〇二三 夏
山村菜穂 塾
神流里子 鉛筆を持つ
洲史 一人ひとり
白根厚子 バラの花
細田貴大 温度計 荒れる
上山雪香 すずらん
櫻井美鈴 ひばり
芝原靖 夏の日
大嶋和子 迷信
鈴野未央 叫ぶ
新間芳子 雑感
桜陽 春から秋へ
田畑悦子 親友
玄原冬子 日課
後藤光治 此岸
木村勝美 母 生きる
くらやまこういち 虹
坂杜宇 海は広いな
目次ゆきこ 広島から
はなすみまこと いまがある

韓国詩の前衛 高炯烈コ・ヒョンヨル 新作二篇  訳 権宅明 作品訳監修 佐川亜紀

歴代運営委員長論 ひとりの俗な市民として・黒田三郎  三浦健治

新人賞 第57回詩人会議新人賞
評論部門・佳作 石垣りんと戦後民主主義 水埜正彦

沖縄報告 オール沖縄の役割と政治の責任  翁長雄治

エッセイ トマホークと幻想  青木みつお

私にとっての批評
あさぎとち あべふみこ
いわじろう うえじょう晶
草野信子 工藤美春

詩人会議と私
熊井三郎 佐々木洋一 清水マサ 佐相憲一 高田真 立原直人
塚田英子 都月次郎 照井良平 床嶋まちこ 野川ありき
野口やよい はなすみまこと 前田新 南浜伊作 みもとけいこ

詩人会議グループ詩詩誌作品集7誌  選 秋村宏
刀根蛍之介 ゼロ歳の記憶
奈木丈 光と風が
広藤キシノ 白い蛾
中奥英子 日々好日
福住眞智子 矢車草
桐木平十詩子 箴言神授
服部昭代 黄昏

一般詩作品
鈴木義夫 蜥蜴
永冨衛 お嫁さん
いだ・むつつぎ 早朝、私は日本の国難を考える
鈴木太郎 春風や(遺作)

書評 宇宿一成 佐々木洋一詩集『でんげん』
坂杜宇詩集『老人とコロナ』 73

ひうちいし 大西はな 河野俊一 岡田忠昭

白永一平小詩集  マルハナバチの花巡り/再起動/君は知っているかい/君/新聞/流れの外/海へ行く/巨木

詩作案内 わたしの好きな詩 北森彩子  佐々木洋一

詩作入門 ことばとつきあう  櫻井美鈴
私の推す一篇 2023年6月号

現代詩時評 「新しい道」を歩く 北村真
詩  集  評 「月は見えていますか」 北島理恵子
詩  誌  評 個々の詩誌から人生を感じています 黒鉄太郎
グループ詩誌評 手作り感が頼もしい詩誌たち 河合政信

自由のひろば (選・坂田トヨ子/中村明美/南浜伊作)
橋本敦士/有原悠二/加澄ひろし/cofumi/大木武則
/石川小傘/海上弘/新見かずこ/天王谷一

詩人会議通信
読者会報告 5月号 芝原靖 6月号 秋山陽子
●表紙/扉カット/表紙のことば 冨田憲二
編集手帳


●短詩

生きる  秋村宏

言葉を揃えさせられるのは
いやだ

 

ブラームスの涙  青木みつお

クレディ・スイスの店舗を見た
スイスのインターラーケンで
街は小さいけれど
あの銀行が赤字に転落
湖はとてもきれいなのに

 

無題  秋野かよ子

8の字は 倒れた
眼のような形∞になった
∞÷2
眼は 互い 違いに
無限の奥から 微笑みと悲しみが流れでた

 

老人ホームのベッドで  青井耿子

詩の先輩・詩友の顔が浮かんだときだ
私が詩を書きたくなるのは
詩は現実を見つめるものだと思うから
現実に立ち戻って、よりよい未来をと
詩よ、ありがとう


●編集手帳

☆五行以内という制約の中で書く短詩。ここには喜びや悲しみ、世界への熱い思いが凝縮されていますが、詩には俳句や短歌とは違ったアプローチがあります。秋村宏さんの「生きる」は〈言葉を揃えさせられるのは/いやだ〉と、怒りを簡潔に伝えています。思考や言葉を一元化しようとしている社会への直言です。
☆韓国の詩を牽引する高炯烈さんより新作二篇をいただきました。翻訳と詩人紹介を権宅明さんにお願いし、作品の翻訳監修は佐川亜紀さんに労を取っていただきました。お礼申し上げます。
☆物故した歴代運営委員長の詩人論は三回目、三浦健治さんの「黒田三郎論」をお届けします。今も作品を読まれ続ける数少ない詩人の一人。〈俗な市民〉という自覚を持ち、庶民の暮らしに寄り添う優しさがあったからでしょう。
☆第57回詩人会議新人賞評論部門佳作を掲載。石垣りんもまた長く読み継がれている詩人ですが、水埜正彦さんは、石垣りんと戦後民主主義の関りを丹念に読み解いています。(柴田三吉)

コメントは受け付けていません。