第45回(2011) 詩部門佳作入選 福島雄一郎

第45回(2011) 詩部門佳作入選 福島雄一郎

詩部門佳作入選 福島雄一郎

1948年3月1日、名古屋市生まれ。大学入学時より横浜―東京に在住、現在に至る。
会社員。「武蔵野詩人会議」所属


受賞のことば
三年ほど前から産経新聞の「朝の詩」に投稿し、掲載していただきましたが、もう少し長い作品を発表できる場所をと思い、昨年の秋から「自由のひろば」と新人賞に投稿・応募して参りました。そのため、「賞」という意識はあまりなく、連絡をいただいた時には殆ど忘れてしまっていて、嬉しいというより、やや呆然としてしまいました。
長い間、文学青年―中年でありましたが、これを励みに、もう一度青年に戻った気持ちで頑張りたいと思います。
「詩人会議」のみなさん、「武蔵野詩人会議」のみなさん、ありがとうございました。


石  福島雄一郎

超特急のゆく橋の下を
川が流れている
きらめくひかりをのせて
静かに

営業の帰り道
ちょっとさぼって
土手に座ってみる

磧には
たくさんの石

先日 大水が出た
石たちは
どこからきて
どこへゆくのだろう
海へ?
そして それから

寝転がって見あげれば
青い空
目の端をまたひとつ
超特急が走り過ぎてゆく

水の向こうの林から
鳥が一羽飛び立つと
点になって
消えていった

時計は
午後三時
すこし風が冷たい
どこかで
サイレンが鳴りはじめた

なにか
とてつもなく遠いところに
一人できてしまった気がして
立ちあがる

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