自由のひろば選(2021.1)
●1月号 自由のひろば作品 フレームアウト 木崎善夫 こんなところに空がある 水たまりに映る空がある 察するに上空は……晴れ 察するに青い……碧い……空 …
●1月号 自由のひろば作品 フレームアウト 木崎善夫 こんなところに空がある 水たまりに映る空がある 察するに上空は……晴れ 察するに青い……碧い……空 …
●もくじ 新春作品特集 谷川俊太郎 おとなしいおに 4 草野信子 眠り 5 照井良平 百年やぁーい 6 渋谷卓男 卯の花 7 柴田三吉 はぜる種 8 安…
研ぐ 北川ただひと 砥石を行き来する 錆びた肥後守 力をいれて研げば 錆が茶色に溶けていく 油断などとはいうまい 忙しさにかまけたともいうまい ほかでもない …
わたしという存在 むらやませつこ 台所の流しの隅で ナメクジがじとっと動いている すろうもうしょんで動いている 貼りつくように動いている 歩いた跡がぬめりぬめ…
●もくじ 二〇二〇年全国詩誌代表作品集 北海道・東北 阿字 佐野のり子 鳥 6 北の詩手紙 藤村美樹 そらまめ。 6 斜坑 たもじゅんこ 秋の手紙 7 新詩脈 …
●自由のひろばトップ あおぞらの詩 小篠真琴 あおいろのそらの向こう側 太陽がうつむき加減を失くしていくとき きみは、あおいそらの切れ端を くちびるで押さ…
特集 港 基地 沖縄 芝憲子 基地ある街で 4 柴田三吉 辺野古 5 いいむらすず 海とシラスと汚染水 6 青木みつお ウマとクラスター 7 田辺修 横須…
●自由のひろばトップ 一羽の鳥 青木まや 林檎やイチゴを食べにくるヒヨドリは 農家にとっては困った鳥だが 美食家らしい それよりも何よりも いつも二羽で動き回…
●目次 特集 病い 草倉哲夫 山椒魚 4 小田切敬子 つゆごもりに はなしこむ 5 いいむらすず 真夜中の手 6 坂田トヨ子 噛みしめる 7 伊藤眞司 P…
おひとりさま 岡村直子 上品なことばにみせかけて さめた気色もちらつく 平成うまれの造語 「おひとりさま」は まさにわたしを言い当てている よるべなき身のおひ…
死んだふり 北川ただひと 狭い路地の奥にある木造アパートに その方は住んでいます ダンボールが積まれた六帖一間に 埋まるように暮らしています お元気でしたか と…
部屋 あさぎとち 部屋はたしかにそこに存在するが、なにも話さない。 窓から初夏の柔らかい風がそっと入ってくる。白いカーテンが少し揺れる。 外では緑色の草が茂り始…
潮騒の村 後藤光治 海沿いの村が寝静まっている 入り江には潮が満ち 月光が一本の光の道を作っている 浪が返す度に光はゆらめき 潮が騒ぎ海が鳴る 潮騒は風に乗り…
この世のものではない 今井くるみ 福島からきたことをかくして生きよう 何回も死のうと思った 放射線のばいきんって呼ばれた 賠償金もってるんだろうって 毎週お金…
うちのおばあちゃん 村田多恵子 気を使ってばかりいて 本音を言わず だけど言い出したら聞かない やっかいなひと 毎日死にたいと言いながら 病院が好きで 薬を欠…
深夜 橋本俊幸 認知症の父を捜しあて どこへ行くのかと叱れば 「家に帰る」という どこに帰るというのか 家を出て 夜は冷たく張りつめている 道を探すわけではな…
むらが消える 落合郁夫 山また山のなかのむら 村制施行前の一八八八(明21)年 一五六戸、八七二人 あと、戦争や恐慌にもまれ 第二次大戦では 村の5%、31人…
紙ヒコーキ サトウアツコ 競うことが使命だと 刷り込まれた紙ヒコーキ その背中に印刷された青空は 動かなくなった白い雲と 私の視線を結んだ後 山折り 谷折り …
夜行列車 志田恵 筆記用具と 買ってもらったばかりのピンクの箸を ランドセルに詰めて 父と二人 住み慣れた部屋を出た 二度と帰らぬとは知らなかったから 振り向…
ボタン 望月はる子 瓶の中のボタン 蓋を開けると あの日が跳び出す これは初めて作ったブレザー これはお気に入りのビーチウェア 学生服の金ボタンは誰の物だった…