2021年1月号 新春作品特集

2021年1月号 新春作品特集

●もくじ

新春作品特集
谷川俊太郎 おとなしいおに 4  草野信子 眠り 5  照井良平 百年やぁーい 6
渋谷卓男 卯の花 7  柴田三吉 はぜる種 8  安仁屋眞昭 新年を寿ぐ 9
中上哲夫 雑草詩篇(七) 10  上手宰 二頁 11  杉谷昭人 豊後街道 12
柳瀬和美 満月 13  荒川洋治 丹尾 14  清野裕子 古寺にて 15
八木忠栄 文ちゃん、やーい。 16  高田真 ロング グッドバイ 17  有馬敲 無事 18
山内宥厳 余白 19  目次ゆきこ さがしているものは 20
長谷川節子 働かない 国を訪ねて 21  若松丈太郎 さっさとおひきとりを! 22
原圭治 密と過疎について 23  浅尾忠男 政治断章 24  熊井三郎 マスク哀歌 25
呉屋比呂志 キジムナー 26  石川逸子 樫の木じいさん 27  瀬野とし 不忘 39
齋藤貢 苦しみの水があふれている 40  網谷厚子 涯のものがたり 41
みもとけいこ 傘 42  水崎野里子 アメリカの警官テロに抗議する 43
安水稔和 地名抄補遺二篇 44  杉本一男 斜坑跡に 45  青木はるみ 命の時計 46
佐々木洋一 美しい抒情 47  おおむらたかじ 正ん家の豚 48
伊藤眞司 ある若者の眠り 49  宇宿一成 双眸 50  中原道夫 反則 51
甲田四郎 市川くん 52  松田研之 消息 53  佐川亜紀 羽の記憶 54
白石小瓶 鳥曇り 55  秋亜綺羅 十年と一秒 56  葵生川玲 最後の十年 57
嶋岡晨 春の花火 58  狭間孝 ゴジラの頭に新春の光が 59
芝憲子 辺野古の元日 60  小田切敬子 それが 平和か 61 折り紙 岩佐ねなしかづら 36 85

年頭のことば
私たちの選ぶ道  岡本厚 28
菅内閣総理大臣のお年玉 菅ディストピア  金子勝 30
思い出しの初笑い(笑えれば)  伊奈かっぺい 32
「学問の自由」と日本の未来  桜井国俊 34
災厄から何を学ぶか  三浦健治 37

 

おはなし 詩のリズムと音楽性――小熊秀雄・今野大力を中心に  柴田三吉 72

小特集 詩作の抱負
いいむらすず 62  池田久雄 62  岩堀純子 62  うえじょう晶 63  魚津かずこ 63
大西はな 63  織田英華 64  河合政信 64  神流里子 64  北島理恵子 65
くらやまこういち 65  後藤光治 65  こまつかん 66  斎藤彰吾 66  佐相憲一 67
玄原冬子 67 白永一平 67  武田いずみ 68  田島廣子 68  田辺修 68
斗沢テルオ 69  奈木丈 69  野口やよい 69  浜本はつえ 70  光谷公男 70

 

書評
狭間孝 大塚史朗詩集『いつまで続く』『どこかに春が』 90
『遠いうた声―わらべうた・など―』 91
『平湯真人詩文集・第四集』  南浜伊作 91

見る・聞く・歩く 杉本一男 71

ひうちいし 松本アイ子 伊奈かっぺい 86

私の推す一篇 2020年12月号 89

詩作案内 わたしの好きな詩 木村迪夫  たなかすみえ 92

詩作入門 事実と虚構  青木みつお 94

現代詩時評 政権の侵蝕 科学者の矜持 立原直人 96
詩  集  評 時間をかけて読む 大塚史朗 98
詩  誌  評 素材を切り取る詩人の眼 後藤光治 100
グループ詩誌評 詩は生きる闘い生きる喜び 宍戸ひろゆき 102

自由のひろば 選・おおむらたかじ/草野信子/都月次郎 104
木崎善夫/ななかまど/永瀬つや子/大久保ゆり/天王谷一/やまくま/岡村直子/佐藤一恵/御供文範

寿都町の使用済核燃料「核のゴミ」最終処分場誘致表明に対する抗議文 北海道詩人会議 88
新基地建設反対名護共同センターニュース 119 詩人会議通信 113
●表紙/扉カット/表紙のことば 宮本能成 120 編集手帳 120


●新春詩作品

不忘

瀬野とし

木の葉のように はらりと
ポストから 落ちた
〈ことしは 忘年会でお会いできませんね…〉

はがきを手に
公園の木々のあいだを歩く

忘年会 年忘れ
年の暮れに その年にあった苦労を忘れる
生きていく知恵
ことしは開けない そのための宴
親しい人とも会えない さびしさ

赤や黄や茶色の葉っぱが舞い落ちて
わたしの肩に降りかかる
あのこともこのことも
ほんとうにたくさんあった
忘れてしまいたいようなこと…

けれど わたしは立ち止まる
〈忘れたくない〉と
わたしたちがすっかり忘れることを望んでいる
人たちがいるので

はがきの人の笑顔を浮かべる
〈とりわけ 長い年月
過ちを繰り返さないように
人びとがどのように苦心して生きてきたかを
忘れないでいたいですね〉

さぁっと 風が来た
落葉が木の根元に寄り添う
落葉も 木を育てるのだ

 

 

●編集手帳
☆新しい年は、命とはなにか、をさらに深く考えます。新型コロナウイルスのひろがりや異なる考えを排除する流れと対峙していきます。
☆ご寄稿いただいた会外のみなさまにお礼を申し上げ、今後もご支援いただけますようお願いいたします。
☆〝答弁を控えさせていただきます〟を連発する首相の闇の世界を、岡本厚氏のご指摘のように、〝徹底して情報公開〟することが求められているのです。
☆柴田三吉さんのおはなしは、第五十三回小熊秀雄賞贈呈式(’20・12月号参照)の記念講演としてなされたものです。小熊秀雄と今野大力の二人の詩を通して、時代の怒りや悲しみを、人々と共に生きた詩人の足跡を位置づけ、現在の課題をも提示していて、引きつけられます。
☆小特集「詩作の抱負」は、25人のみなさんのさまざまな課題が述べられ、それらの作品が、詩運動を実りある豊かなものにしていくでしょう。
☆「詩作入門」は、一年間一人の執筆者を、毎月一人にし、会員のみなさんに自作詩を引用しながら、詩作の課題を語っていただきます。ご期待ください。
☆本誌の今年の表紙絵は、宮本能成さん(118頁参照)です。一九九五年度につづいてのお願いですが、沖縄を主題にしていただけます。楽しみです。
☆なお今号は700号です。1963年1月から2021年1月までの60年間、毎月一度の欠号もなく発行した成果です。会員、会友、読者、支援者、みなさまのお力によるものです。有難うございます。厚く御礼申し上げます。(秋村宏)

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