2020年12月号 二〇二〇年全国詩誌代表作品集

2020年12月号 二〇二〇年全国詩誌代表作品集

●もくじ

二〇二〇年全国詩誌代表作品集

北海道・東北
阿字 佐野のり子 鳥 6
北の詩手紙 藤村美樹 そらまめ。 6
斜坑 たもじゅんこ 秋の手紙 7
新詩脈 成田雅子 遠く美しく 7
青芽反射鏡 富田正一 第三の人生 8
日本海詩人 あゆかわのぼる おねえさん 9
表象 万里小路譲 夢の渚 10
北極星 あさぎとち 境界 10
熱気球 秋葉美恵子 夜明け前の空の暗闇の中の見開いた目 11
火窪 情野貞一 消え去る百姓 11

関東
い みせけい 空気 12
ERA 中井絵美 2020年 12
焔 藤田博 サンクチュアリー 13
炎樹 仲玲央 喪失 14
雲の戸 山本萠 ほそい月のかたえに 14
Quake 奥野祐子 本能 15
京浜詩派 荒波剛 遅くやって来た花 16
国鉄詩人 まつうらまさお 雑巾と 16
彩 滝沢ひろし 短詩二篇 17
冊 近藤起久子 虹 17
詩・足利 田部田富夫 詩と詞 18
「しずく」の会 田中眞由美 零れる 18
タラの木 川津きゃら 電話帳を配達した街は 19
タルタ 堀内敦子 七夕の雨 19
同時代 加藤三朗 歴震 20
凪 星清彦 白いマネキン 20
花筐 井手馬子 万変化 21
ヒーメロス 小林稔 時間 21
伏流水 うめだけんさく コンビナートの見える海 22
文集あしあと 新間芳子 二丁目の皇帝ダリア 23
澪 平林健次 歪の原因 23
夜明け 大塚史朗 死に神 24
龍 大川映子 海を見に行きませんか 25
かねこと 新井啓子 クラウドボウ 26

東京
いのちの籠 山崎夏代 サクラを見に行こう 27
櫟 櫻井美鈴 家族写真 28
耕 渋谷玲宏 追悼の祖父 28
ここから 関口隆雄 オレオレ詐欺 29
このゆびとまれ 長谷川節子 ひなげし 30
さざんか詩の会 樋口和子 句読点 30
詩人の輪通信 秋山泰則 高雄の空 30
指名手配 井嶋りゅう 午後から不在 31
1/2 青木春菜 言葉のこだま 32
真白い花 村尾イミ子 海辺のソナタ 32
飛揚 森井香衣 水辺にて 33
ポリフォニー 熊沢加代子 シャボン玉 34

中部
あふれる想いを言葉にたくして 山口修治 あれ!? 43
詩食 岩井昭 ふきのとう 43
ジャンクション 草野信子 風の吹く日々 44
出発 板倉弘実 アッキイ 45
樹 佐藤成美 二十一歳 45
独標 平澤眞理子 春疾風 46
新潟詩人会議通信 岡部清 送迎バスの窓から 47
野の草など 手島亜紀子 夏に病む 48
狼煙 小山はる子 オーイ、足よ 48
はりみち 山﨑清子 夏の朝 48
ぱぴるす 山田信子 余白 49
沃野 森美智子 無人寺 50
水脈 中林千代子 ようこそ我が家へ 50
地平 加藤かよ 乙女人形 51
詩林 さがらたけし 父と蛇の目の女 52

近畿
青い風 岩橋健治 カタカナ 53
葦笛 木立零 朝顔ゆれて 53
石の森 凛々佳 自由の庭 54
苺余果 藤の樹々 地球という金魚鉢 55
架空二重奏 山中従子 極寒の街 55
軸 志田恵 動画を撮ろう 56
憧憬 三浦千賀子 立ちつくす 57
朱雀 西田純 すわっていたいところ 57
鶺鴒 田中章子 家は 58
多島海 江口節 十三夜 58
手仕事 山川茂 更地 59
天童山文庫 速水晃 光は 60
トンビ 真田かずこ 偉大な芸術家 60
野の花 山本涼子 訪問看護師 61
はだしの街 山本万里 第七版 広辞苑 61
100円詩集 はらきんじ 「ワシ」が「アシ」と対話する 62
プラタナス 彼末れい子 エスカレーターの法則 63
別嬢 高橋夏男 カイゲンの町で 64
鉾 ささひさし 夢 64
PO 来羅ゆら 老夫婦の会話 65
ぽとり 武西良和 学校の子ども 65
窓 渡邊真理 レモン 66
まほろば たかはらおさむ 正倉院展 66
三重詩人 深谷孝夫 からだが元気で動ける内は 67

中国・四国
あかきの 木村一彦 メジナ 70
詩民 木村徳雄 無題 71
詩脈 圓藤信代 茅花 71
兆 やまもとさいみ 秘密 72
道標 石井厚子 島の昼下がり 72
ネビューラ 中尾一郎 猫は何処へ行った 73
腹の虫 熊井三郎 こちらコロナ放送局 74
菱 花房睦子 石の中の森 74
ほのお 河内美子 山の女の幻  75
湖 明石旅夫 太陽が昇る 75
グループ・ミモザ 浜島れい子 わたぼうし 76

九州・沖縄
あすら 玉木一兵 母の背の僕 77
いちご通信 安部祥子 休日 78
御貴洛 河野俊一 五月の夜 79
詩創 前田勉 しずく 79
筑紫野 木下圭子 永遠 79
ながさき詩人会議 朝長芳則 たいちゃん 教えて 80
縄 織つかさ 幼き日の憧れ 80
野火 千葉昌秋 ある朝 海浜で 81
複眼 平いく子 切り抜き 82

 

論考 十五年戦争 加害者としての日本――歴史を風化させぬために  奥田史郎 35


春街七草 ウポポ 84  大釜正明 新琉球物語 85  野川ありき 明暗 86
村田多惠子 カラフル ライフ 87  秋乃夕陽 彼方の夢 88  山﨑芳美 音・音・音 89
大道和夫 卒業 90  小田凉子 別れの曲 91  森下厚司 G線上のアリア 92
永井秀次郎 音楽を聴く 93  村上ますえ インスリンを友として 94
宮沢一 テニス肘(上腕骨外側上顆炎) 95  はなすみまこと 畑のなかにいて 96
西明寺多賀子 ハロウィーン 97  石関みち子 軍事郵便 98  小川桂子 水没した故郷 99
柏原充侍 あした 100  白根厚子 知床漁港 101  志田昌教 インターネット・カプリチオ 102
植田文隆 その差って 103  斗沢テルオ 爆音に消された村 104
滝本正雄 「核のゴミ」が隠れてやって来る 105  山田よう コヴィット19とそよ風 汐風 106
榊次郎 時間を取り戻そう 107

長い詩
都月次郎 消毒しますか? 108  呉屋比呂志 吾子の難病 109
栁原久美夫 いつまでも戦後 110  乾葉子 北の大地(アイヌモシリ) 111

書評 鈴木太郎詩集『谺する風景』  青木みつお 83
呉屋比呂志詩集『ブーゲンビリアの紅い花』  洲史 83

赤木比佐江小詩集  南瓜/モクズガニ/お寺めぐり/年を重ねても 114

見る・聞く・歩く 坂井勝 69

私の推す一篇 2020年11月号 125

ひうちいし 清水マサ 吉田豊 松尾民次郎 青井耿子 126

四季連載 詩の見える風景・ふたたび冬――本物の想像力とは何だろう  杉谷昭人 128

詩作案内 わたしの好きな詩 木庭克敏  杉本一男 130

詩作入門 十二、いのちへの祈り  有馬敲 132

現代詩時評 君の瞳に広がる街 上手宰 134
詩  集  評 只管 時は静かに流れていく 田辺修 136
詩  誌  評 詩人たちのやさしいまなざし 高田真 138
グループ詩誌評 人としての尊厳を失うまい、と 宍戸ひろゆき 140

 

二〇二〇年自由のひろば最優秀作品・優秀作品 118
最優秀作品 雨野小夜美 南スーダン 118
優秀作品 木﨑よしお 痛い言葉 120 御供文範 乳房の重さ 121 田村きみたか 聖火 122
選評 草野信子・佐々木洋一・都月次郎 123

 

「九条の会・詩人の輪」ニュース 142 詩人会議通信 68 113 143
菅首相による学術会議会員の任命拒否に抗議する 143 入会のご案内 145 詩人会議を知っていますか? 146
●表紙(「2017年釜山」)/扉カット 鄭周河 表紙写真あれこれ 柳裕子 148 編集手帳 148


●詩作品

消毒しますか?  都月次郎

誰かがコウモリを食べたので
新しいウイルスが
ヒトへ感染したらしい
おかげで世界中まん延
グローバルもおっかない

すぐには薬も見つからないので
学校は休み
なるべく家で仕事して
ライブも集会も中止
スポーツは観客ゼロ
観光地 旅館ホテルは
カンコドリ
群れるな 歌うな 酒飲むな
そのうち 笑うな しゃべるな
さわるな 息するな なんてね

小さな島でも
温泉 図書館 集会所
みんなしめてクモの巣張って
これはもしかすると
地球の仕返し
むかし見た映画に
宇宙人が攻めてきて
あわや人類全滅かというとき
インフルエンザのウイルスに
宇宙人がかかり
免疫がなかったために自滅して
やれやれ助かったというのがあった

今度のウイルスも
もしかすると地球の復讐かも
山を焼いたり切り崩したり
海に土砂をぶち込んで埋め立てたり
そこら中に爆弾や地雷をばらまき
二酸化炭素や放射能を振りまき
金もうけのためなら
なんでもやりまっせ
地球や他の生きもののことなんか
これぽっちも考えない
ほんとのところニンゲンは
この地球にとって
ひどい害虫だったんじゃないのか

みんなマスクをして
せっせと手を消毒しているが
本当に消毒しなければならないのは
ニンゲン自身なのかもしれない

 

●編集手帳

☆今年は新型コロナ感染拡大と安倍内閣の総辞職=菅内閣が発足した年でした。自然と人間のそれぞれの闇の深さをみせ、命とはなにか、を考えさせられました。
☆「全国詩誌代表作品集」には105誌からご参加をいただき、持続する力を思いました。ありがとうございます。
☆奥田史郎さんの「十五年戦争 加害者としての日本」は、被害者としての平和の訴えだけでなく、加害者としての日本をみる重要さを指摘されています。
☆今年、定期欄ほかにご執筆いただいた方々に厚くお礼申し上げます。
☆来年度は次の方々にお願いしました。
現代詩時評=立原直人、上手宰。詩集評=大塚史朗、魚津かずこ。詩誌評=後藤光治、高田真。グループ詩誌評=宍戸ひろゆき(2月号まで)詩作入門、詩作案内=会員毎月交代。自由のひろば=おおむらたかじ、草野信子、都月次郎。
表紙絵=宮本能成(日本美術会会員)。
☆学問、文化、表現の自由を脅かす権力とたたかう小誌を、本年もご支援いただき、お礼申し上げます。(秋村宏)

コメントは受け付けていません。