2023年4月号 特集 いのち―地球の46億年

2023年4月号 特集 いのち―地球の46億年


●もくじ

特集 いのち―地球の46億年

宇宿一成 蝶
瀬野とし 象形文字
芝憲子 地球の後悔
奈木丈 絶滅しそうな生きもの
春街七草 人間の身体に刻まれた歴史
いわじろう 小さな者たちが
白永一平 地球のなみだ
くらやまこういち ふとっぱら大家の庭先で起きていること
雨野小夜美 砂漠のスプリンクラー
織田英華 地球企画
玉川侑香 大地の声を聞く
草野信子 晴れた日は
高田真 星空散歩
いいむらすず 終末時計
かわかみよしこ 緒
浜本はつえ いのちの自然
芝原靖 野にかぎろひの
三ツ谷直子 いのち
あさぎとち 夢のまた夢
飯泉昌子 人は
宮本勝夫 「縄文」のこころ
光谷公男 これからを生きる君たちに
妹背たかし 青い月明かり
浦西登 樹
中村明美 循環
柴田三吉 光跡
山田よう 奇跡
みもとけいこ なにはともあれ

エッセイ
ヒトは地球とどう付き合ってきたか  金蔵拓郎
世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう  桜井国俊
我々は何をしてきたのか  本多寿
いのちの水  穗盛文子
「肯定の思想」こそが  魚津かずこ
離島の汽笛  都月次郎
畑仕事から  はなすみまこと
いのちに向き合う日々  狭間孝
地球が詩を書いている  佐相憲一
地球生命存亡の岐路に立つ  後藤光治

おはなし 山に生きる私  秋本真宏

歴代運営委員長論 自己にきびしく、他者にやさしい詩人・片羽登呂平  三浦健治

一般詩作品
御供文範 春、少女よ
清水美智子 手紙
北沢美佳 私の散歩道
伊藤眞司 風信子
三浦千賀子 小さな器
床嶋まちこ 一日の締めくくりは「有難う」
佐藤誠二 今こそ守りたい命
三村あきら 初日の出
上野崇之 先に逝ってしまった姉へ
いだ・むつつぎ おれたちは米軍戦車を止める
おおむらたかじ どうしていますか、母よ
菅原健三郎 だっこ

書評 宇宿一成 吉村悟一遺稿詩集『戦争とぼく』
春山房子詩集『耐えて 春』

 

ひうちいし 原田勇男 まだらめ三保 秋野かよ子

見る・聞く・歩く 河合恒生

目次ゆきこ小詩集  待つ/ルーツ/あの日/雨/本のある場所

地下室の窓 「老い」という他者  徐京植

新会員作品 わたなべとしえ

詩作案内 わたしの好きな詩 中野鈴子  大嶋和子

私の推す一篇 2023年3月号

詩作入門 日常生活の中で  鈴木太郎

現代詩時評 でも、まだ沈まない 立原直人
詩  集  評 風景が浮かび上がらせたものは…… 勝嶋啓太
詩  誌  評 人を支えるものは何か 野口やよい
グループ詩誌評 エッセイも 詩も 貴重な資料として 河合政信

自由のひろば (選・坂田トヨ子/中村明美/南浜伊作)
加澄ひろし/ばんば/橋本敦士/北川聖/有原悠二/
まだらめ三保/cofumi/新見かずこ

詩人会議通信
読者会報告 3月号 芝原靖
●表紙/扉カット/表紙のことば 冨田憲二
編集手帳


●特集詩作品


宇宿一成

天の川銀河の片隅で
岩石と火と水が織りなした卵、僕たちの星
そこにはいのちが溢れていて
虫も鳥も 卵という
それぞれの小さな地球から生まれ出る
人も お母さんのおなかの中では卵だ

地殻、マントル、核、それが地球
卵殻、卵白、卵黄、それが卵

卵であれば
いつ割れたっておかしくはない
地球で今生きているということは
地球を生きているということ
壊れそうな卵を
矛盾を抱えて壊れそうな私を

ミサイルが炸裂する国の畑でも
緑の葉の上で卵から青虫が生まれて蛹になる
やがて羽化する蝶の羽にしるされる紋には
きっと 祈りのように
自由と平和が書かれている


●編集手帳

☆産業革命以後の暴力的な文明、過剰な経済活動による環境破壊と温暖化、国家間の争いによる世界の荒廃。あらゆる生物の生存が脅かされているいま、私たちにできることは何でしょう。四六億年にわたる地球の自然史を振り返り、いのちと人間存在の意味を問うことは、緊急かつ切迫した課題であると思います。
☆今号の企画を進めていくなかで、一八世紀の思想家、ジャン=ジャック・ルソーが遺した言葉を思い返していました。「いちばん最初の人間たちは、私たちがいま日常的に使っている言語ではなく、詩と音楽によってたがいに語りあっていた」。これこそが、私たちの詩の原点ではなかったかと。詩人たちは最初の人間の営みと結ばれて、いのちとは何か、いのちのよろこび、悲しみとは何かを語り継いできたのではないでしょうか。
☆このたびの特集に当たって、金蔵拓郎、桜井国俊、本多寿、穂盛文子、秋本真宏、各氏より、専門的な知識と実践活動から得た貴重な提言をいただきました。心よりお礼申し上げます。(柴田三吉)

コメントは受け付けていません。