落合郁夫「むらが消える」
むらが消える 落合郁夫 山また山のなかのむら 村制施行前の一八八八(明21)年 一五六戸、八七二人 あと、戦争や恐慌にもまれ 第二次大戦では 村の5%、31人…
むらが消える 落合郁夫 山また山のなかのむら 村制施行前の一八八八(明21)年 一五六戸、八七二人 あと、戦争や恐慌にもまれ 第二次大戦では 村の5%、31人…
紙ヒコーキ サトウアツコ 競うことが使命だと 刷り込まれた紙ヒコーキ その背中に印刷された青空は 動かなくなった白い雲と 私の視線を結んだ後 山折り 谷折り …
夜行列車 志田恵 筆記用具と 買ってもらったばかりのピンクの箸を ランドセルに詰めて 父と二人 住み慣れた部屋を出た 二度と帰らぬとは知らなかったから 振り向…
ボタン 望月はる子 瓶の中のボタン 蓋を開けると あの日が跳び出す これは初めて作ったブレザー これはお気に入りのビーチウェア 学生服の金ボタンは誰の物だった…
宿題 岡田直樹 ええ、大好きなあの子たちは のこらず立派に卒業していきました あの子たちとの出会いは、 わたしが大学を卒業したころ。 たずねていったのは駅前の…
ブラウス 野口やよい 結婚して間もない頃 義母が遠慮がちにさしだした 千の紋白蝶が集まったような レースのブラウス 折角ですけど、と断って なにかを守ったつも…