2021年8月号

2021年8月号


●もくじ

特集 八月
谷川俊太郎 八月の老い 4  野口やよい 竜宮城 5
齋藤貢 苦い水の流れる、川のほとり 6  北村真 指で歩く 7
青木はるみ 純白の花冠に平和のイメージを! 8  佐々木洋一 なあなあ 9
中上哲夫 こんな朝、あんな朝 10  小田切敬子 わたしの八月 11
杉谷昭人 夏の終わり 12  宇宿一成 八月踊り 13  清水マサ 回想 戦争 14
熊井三郎 わたしの八月 15  八木忠栄 万緑 16  木村孝夫 お願い 17
瀬野とし ためらい 18  山内宥厳 老々介護 19  丸山乃里子 初蝉 20
田上悦子 蜘蛛の巣考 21  上手宰 二差 22  水崎野里子 ジャンプ! 23
田辺修 トラック 24  狭間孝 赤手蟹 25  荒川洋治 活動の息子 26
柴田三吉 そらの向こうの大きな鶏に 27  斎藤紘二 八月のピアノ 28
石川逸子 耳を澄ませば 29  嶋岡晨 ひしゃげた満月 44  佐々木薫 八月の祈り 45
松田研之 パッチワーク 46  後藤光治 芋 47  安水稔和 西風 48
おおむらたかじ 夏になったら団子清水にでかけよう 49  渋谷卓男 間取り図 50
高田真 炎天の下に 51  甲田四郎 起きていたい 52  照井良平 アンモニア方程式 53
有馬敲 バラの花 54  清野裕子 日々の 55  玉川侑香 半分 56
佐相憲一 詩人打線の夜、ふたたび 57  青木みつお ヴァカンス風景 58
呉屋比呂志 ザイテングラートにふたり 59  秋亜綺羅 八月の昼の闇 60
櫻井美鈴 サイレンに込められた祈り 61  芝憲子 ワールド ピース 62
斎藤彰吾 志波一男先生 63  中原道夫 八月十五日 64  網谷厚子 あやかし 66
くにさだきみ フェンスを吹き抜ける コロナの風 65  佐川亜紀 はだかの言葉 67

エッセイ
「8月」の記憶  岡本厚 30
陸軍被服支廠解体問題と広島文学資料保全の会  河口悠介 32
バルト3国の「歌う革命」から30年  緒方康夫 35
「米日核同盟」の風景――「米中戦争」の匂い――  金子勝 37
いつだって自分の為ですか  伊奈かっぺい 40
八月は敗戦の月  桜井国俊 42

記念講演 原爆症認定訴訟とビキニ被災事件救済の展望  内藤雅義 84

今の現実をどう表現するか  柳瀬和美 68 山川茂 70 織田英華 72 安仁屋眞昭 74

ひうちいし 坂井勝 岡村啓佐 沖村民雄 中村明美 いだ・むつつぎ 82

見る・聞く・歩く 田上悦子 80 石子順 81 汐見由比 112

私の推す一篇 2021年7月号 113

小田凉子小詩集  母/ふるさと/桃の木 76

書評 田上悦子 櫻井美鈴詩集『還る場所』 99

詩作案内 わたしの好きな詩 吉田定一  田島廣子 100

詩作入門 雪虫の群れ飛ぶ風景  葵生川玲 102

現代詩時評 家電製品のある風景 上手宰 104
詩  集  評 時代を反映する言葉 魚津かずこ 106
詩  誌  評 思いきりスキップしましょう 高田真 108
グループ詩誌評 作品に映し出されたそれぞれの人生 上岡ひとみ 110

自由のひろば 選・都月次郎/おおむらたかじ/草野信子 114
三村あきら/大野美波/新見かずこ/佐藤一恵/やまくま/有原悠二/髙橋宗司/天王谷一/ななかまど

詩人会議通信 123 読者会報告 7月号 洲史 123 ●表紙/扉カット/表紙のことば 宮本能成 128
編集手帳 128 新基地建設反対名護共同センターニュース 表4


●詩作品

竜宮城
野口やよい

祖母の物置には
竜宮城をかたどった茶瓶があった

それをわたしは
祖母を喜ばそうと磨いたことがある
でも子どもの手でいくら擦っても
茶渋は染みついたまま
がっかりして放りだしたわたしを
祖母は諭した

よかよか
なんでん ほどほどが よか

憎しみだけではない
愛だって 善だって 正義だって――
度が過ぎれば
人の心に眠る竜を
起こしてしまうのだから

たとえおばあちゃんのためだって
おまえが腹を立てたら
おまえの竜は目を覚ます

あの戦のあいだなど
千万の竜が暴れたもの
とび散った鱗が刺さって痛かった
まだ痛かとよ

そして
うすあおい
泣いているような笑みで
わたしを見つめて 祖母は
古びた竜宮城を
また物置の海に沈めたのだった
*なんでもほどほどがよい、の意

 

 

 

●編集手帳

☆今月の特集は「八月」です。「八月」は、なんらかのかたちで戦争の記憶と結びついています。そのなかで、異論を排除する為政者の闇と対峙する、自由で多様で個的な作品をいただきました。会内外のみなさまにお礼申し上げます。
このような特集の時、頭に浮かぶ言葉があります。「結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものなのだ。問題に対して沈黙を決め込むようになった時、我々の命は終りに向かい始める」(黒人解放の指導者・キング牧師)。多くの人の声を合わせたいのです。
☆内藤雅義さんのおはなしは「ビキニデーin高知」(3月7日)の記念講演からいただきました。「第五福竜丸」や「死の灰」は知っておられる人がいるでしょうが、その実態はほとんど知られていません。放射線の人体への影響、内部被曝は、どうなのか? その隠蔽と放置が現在の原発と核兵器の独占につながっていることを説いておられます。
☆五輪への熱狂のみに目をむけ始めたマスメディアを注視。(秋村宏)

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