2023年8月号 特集 戦争をしない、させない国へ

2023年8月号 特集 戦争をしない、させない国へ


特集 戦争をしない、させない国へ

冨岡悦子 そのあとに
横山ゆみ 水底の祈り
河津聖恵 鏡Ⅱ
みもとけいこ 夜の鬼ごっこ
中上哲夫 武器と楽器
上手宰 類似成分の活用例
石川逸子 いつ?
小田切敬子 戦争をしない させない国へ
本多寿 八月
大久保せつ子 ヒロシマの子
齋藤貢 戦争
宇宿一成 けれどヒトよ
網谷厚子 戦争の正義とは
佐川亜紀 服は待っている
沢田敏子 戦争体験
うえじょう晶 豊かなるパン
日原正彦 顔
柴田三吉 絵本
青木由弥子 帰郷
斗沢テルオ 動物たちの九条
中原道夫 虫の音
こまつかん 死なないで
秋亜綺羅 戦争は書かない
木村孝夫 それは 今だ
杉谷昭人 梅雨入りの日
後藤光治 ああロシア
嶋岡晨 孤塁
芝憲子 沖縄の海
甲田四郎 目
南浜伊作 『原子雲の下に…』ノート
八木忠栄 棒きれをもって
荒川洋治 杉/松
瀬野とし あなたに
目次ゆきこ 五月・ロール・ケーキ
雨野小夜美 人生が戦争になってしまった君へ
三村あきら 鼓山竹
田辺修 御幸橋
いわじろう 戦争を、させない
三浦千賀子 たった一つのいいこと
春山房子 海を越えて
清水美智子 散るさくら
妹背たかし 便り
小田凉子 武器見本市
志田昌教 正義の旗
伊藤眞司 戦争反対
呉屋比呂志 暁空丸
光谷公男 平和遺族会
狭間孝 墓石染まる

論考 日本の平和主義をめぐって  岡本厚

エッセイ 戦争と三枚のおふだ  是恒香琳

座談会 声をあげつづける若者たち――平和を願う活動を通して
鳥海太佑 田原ちひろ 中田結 沖村民雄 司会・柴田三吉

おはなし かれなくとも存在する詩をまるごと生きる人に励まされ  北村真

提起 日本人よ そんなに戦争がしたいのか――詩人のいつか来た道  熊井三郎

報告 世界のヒバクシャとつながろう  岡村啓佐

ひうちいし 沖村民雄 わたなべとしえ

私の推す一篇 2023年7月号

かわかみよしこ小詩集  メビウスの帯

地下室の窓 終わらない戦争――仁川ディアスポラ映画祭にて  徐京植

詩作案内 わたしの好きな詩 村上国治  坂井勝

詩作入門 おかしいと感じる矛盾から  洲史

現代詩時評 想定外との距離 立原直人
詩  集  評 詩人の個性が炸裂!の二つの詩集 勝嶋啓太
詩  誌  評 愛の詩 野口やよい
グループ詩誌評 90・100・200・複眼・狼煙・ほのお 河合政信

自由のひろば 選・中村明美/南浜伊作/坂田トヨ子
橋本敦士/加澄ひろし/壱貫亨治/大木武則/佐藤一恵/新見かずこ/cofumi/村口宜史/永瀬つや子

寄贈詩誌・詩書
詩人会議通信
読者会報告 7月号 芝原靖
ごあんない
●表紙/扉カット/表紙のことば 冨田憲二
編集手帳


●詩作品

水底の祈り  横山ゆみ

あの艦(ふね)が沈んでいるのは
もう昔 と
ほんの昔 との
ちょうど手の届かぬ 狭間なのだろう

船室に 固く付着する
サンゴ フジツボ 無数の祈り
想いは 脇を素通りする
七十八年後の魚たちに
懸命に 手を伸ばしている

「君タチヨ、
マタ 再ビ
総員デ
命令下達ノ訓練ニ
取リ組ミ始メタ
君タチヨ…」

私たちは いまだに沈んでいる
全体主義の溶け込んだ
この 疫病騒ぎの水底に

菌は わらっている
ビンタのかわりに配られた 口を覆う布切れを
悠々と 素通りして

誰一人 自分の顔も 友の顔も
互いの自由な判断の権利も
恐怖に怯えて 直視しなくなった今

二〇二三(フタマルフタサン)
囮作戦に乗るのは もうたくさん

私たちは 暴かねばならない
疫病騒ぎがひた隠しにする 真の顔と
それが沈めたものを


●編集手帳

☆国家が誕生して以来、戦争はすべて政治的な出来事になりました。戦争を進める当事国のみならず、ここから利を求める国々があり、現実はどれも世界戦争と言っていい状態です。これに抗えるのは唯一、市民社会の民主的成熟でしょう。
☆岡本厚さん、是恒香琳さん(SEALDs元メンバー)に、戦争が孕む危機について本質論を書いていただきました。また未来を担う世代である〈東京平和ゼミナール〉の大学生・高校生三名の方に、日頃の活動内容を語っていただきました(お世話はゼミナールの沖村民雄さん)。
☆作品欄は会外の方々から想像力豊かな作品を多数寄せていただき、会員作品と併せ、充実した特集となりました。現政権が軍拡と戦争準備を進めるなか、平和な世界を築いていこうという、まっすぐな思いに励まされます。執筆いただいた皆さまに深くお礼申し上げます。
☆六月五日・六日、東京で全国運営委員会を開催し、詩運動の未来に向けて活発な議論が交わされました。詳細な内容は九月号に掲載します。(柴田三吉)

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