2020年10月号 特集 港 基地 沖縄

2020年10月号 特集 港 基地 沖縄

特集 港 基地 沖縄

芝憲子 基地ある街で 4  柴田三吉 辺野古 5  いいむらすず 海とシラスと汚染水 6
青木みつお ウマとクラスター 7  田辺修 横須賀2020 8  妹背たかし 源オジ 9
照井良平 ウミネコが鳴く岬の港 10  白根厚子 珊瑚の海 11
千葉昌秋 港町の兵器工場で 12  永井秀次郎 基地の町 13
くにさだきみ フェンスを吹き抜ける コロナの風 14  滝本正雄 「泡盛・にいがき」にて 15
伊藤眞司 豚の尻尾 16  洲史 裕一郎君 17  清水健一 基地のある街で 18
鈴木太郎 風の道 19  たなかすみえ 居すわる 20  春街七草 悔しいな… 21
宇宿一成 島の名前 22  水崎野里子 長崎港から軍艦島へ 23
草野信子 ガイドブック 30  うえじょう晶 沖縄 31  狭間孝 ハマボウの黄色い花 32
光谷公男 空母「出雲」 33  永山絹枝 針尾島浦頭で 34  きみあきら 気ままを放置 35
小泉克弥 沖縄の問題/沖縄が問題 36  板倉弘実 あべのマスク 37
呉屋比呂志 流離 38  山﨑芳美 なるほど 39  梅津弘子 大人の責任 40
いわじろう お節介が! 41  小田凉子 沖縄県営鉄道 42  中正勇 設計概要変更申請 43
こまつかん 富嶽ふるえ 44  佐相憲一 みなと 45  佐川亜紀 魚の森 46
熊井三郎 港/基地/沖縄 47

小論 米軍基地による環境汚染の一日も早い除去対策を!  安仁屋眞昭 24
基地・横須賀で何が起きているか  鈴木和弘 48

詩 ノーモア・ミナマタ  俺は働かにゃあならん/菊の花/ある船頭のつぶやき  酢山省三 53

大道和夫 づぼらやの思い出 60  おおむらたかじ 促音「っ」 61  神流里子 祖母 62
上山雪香 白い蛇 63  いだ・むつつぎ じゃがいも作りの歌 64
飯泉昌子 ミニとまと 65  三浦千賀子 入浴介護 66  床嶋まちこ 切り替える 67
鈴木義夫 握手 68  清水マサ 五百六十冊の「詩人会議」誌 69

書評 青木みつお
鈴木文子詩集『海は忘れていない』 70  小林その詩集『青い無花果』 70
山田よう詩集『あさやけ ゆうやけ』 71

私の推す一篇 2020年9月号 59

ひうちいし 田中淳一 榊次郎 宍戸ひろゆき 山岸広 72

岩井洋小詩集  「自粛」から「自衛」へ?!/新しい生活様式/――こんな話もあったね/朝の公園/詩人たちの反撃/エピローグに代えて 74

地下室の窓 ディストピアと芸術の力  徐京植 78

詩作案内 わたしの好きな詩 高田豊  後藤光治 82

詩作入門 一〇、老いとのたたかい  有馬敲 84

現代詩時評 詩人の資質 上手宰 86
詩  集  評 深淵な詩界を手繰る 田辺修 88
詩  誌  評 日々の祈りと祝福と 高田真 90
グループ詩誌評 コロナ禍は社会を変革するチャンスだ 宍戸ひろゆき 92

自由のひろば 選・草野信子/佐々木洋一/都月次郎 94
小篠真琴/御供文範/坂田敬子/髙橋宗司/落合郁夫/やまくま/高詩月

新基地建設反対名護共同センターニュース 29 全国詩誌代表作品集ご推薦のお願い 71 詩人会議通信 103
●表紙(「2012年フランス」)/扉カット 鄭周河 表紙写真あれこれ 柳裕子 108 編集手帳 108


●詩作品

基地ある街で
芝憲子

不平等協定で編んだザルから
水がもれる
人がもれる
ウイルスつけて

ザル状のカゴつき自転車で
ゆっくり走っていると
小学校二年生くらいの男の子が歩いてきた
「こんにちは」と大きな声で言うので
「こんにちは」と答えた
まるで知らない男の子だ
「宝石があるよ、宝石。宝石見る?」
「ほんと、見る」
走り出した男の子のあとを
自転車で追いかけた
用事があったのだが…
家に連れて行くのだろうか?

ぐるぐる走って
ペット・トリミングの店の外
道路沿いの壁の下に
しきつめられた小石
「ほら」
小石はギザギザで 薄茶 薄緑 灰色 白
どれもほんの少し光っている

「ほんとうだね」
「とっていいんだよ」
男の子は何個かポケットにいれた
わたしも二個とって
「ありがとう」

でも
ほんとうの宝石はあなたですよ

 

 

●編集手帳

☆今月の特集は「港 基地 沖縄」です。現在、在日米軍の施設は、13都道府県に78施設・区域があります。とりわけ日本全体の0・6%の面積の沖縄に米軍基地の70%があります。それが私たちの暮らしの日常化であり、疑念をもたない人がいます。
安仁屋眞昭氏は沖縄の米軍基地の環境汚染、鈴木和弘氏は横須賀での米兵犯罪を告発されています。けれどわが国に裁判権はなく、日本は「真の独立」国家か、といわれているのです。詩は、日常化した奥にあるものを探りだしています。
☆〝ノーモア・ミナマタ〟の3篇の詩は酢山省三氏の「ノーモア・ミナマタ第2次新潟全被害者救済訴訟 みばわるいすけを 乗り越えて」のリーフレットから転載させていただきました。新潟県阿賀野川流域で被害が発生し、一九六五年に公式確認され、水銀をたれ流した昭和電工への補償を求めた裁判で、会社の責任が認められましたが、症状があっても患者だと認められない人たちが、いまも闘っています。激励を、支援を!(秋村宏)

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