2020年1月号 新春作品特集

2020年1月号 新春作品特集

●もくじ

新春作品特集
谷川俊太郎 詩の話 4  草野信子 苦い木の実 5  齋藤貢 燃える火 6
勝嶋啓太 合意なき決定 7  上手宰 紙の大地 8  彼末れい子 むべなるかな 9
若松丈太郎 ひと由来の 10  渋谷卓男 資質 11  青木はるみ 書初め 12
高田真 さなぎ 13  浅尾忠男 天皇ファースト 14  奥田史郎 馬 15
佐々木洋一 つぶやき 16  山内宥厳 嵐 17  北村真 父の帰還 18
佐藤文夫 いま 地球は怒っている 19  大塚史朗 そして正月 20
呉屋比呂志 山里の新春 21  熊井三郎 干渉 22  柳瀬和美 帰省 23
玉川侑香 おれの 足の 形 24  石川逸子 耳をすませば 25  中上哲夫 川の色 36
都月次郎 海水が熱い 37  甲田四郎 仕事の夢 38  狭間孝 通勤 39
安水稔和 花巻はなまき二篇 40  丸山乃里子 かりがね 41  荒川洋治 作られた人 42
風野真季 まどろみ 43  山口賢 火鉢 44  松田研之 独白「去年今年」の巻 45
遠藤智与子 決意 46  杉本一男 もやす 47  斗沢テルオ お正月様ご来訪 48
後藤光治 そして「令和」 49  芝憲子 時の奥から 50  清水マサ 君への愛をこめて 51
中原道夫 郊外電車の中で 52  くにさだきみ 平和ではなく「令和」だ。 53
佐相憲一 冬 54  照井良平 年っことるって 55  嶋岡晨 点検 56  葵生川玲 消去 57

年頭のことば
平和な未来を築くため、真っ当な歴史教育を  桜井国俊 26
新しい時代を開く側に立つのか、が問われる  岡本厚 28
嗚呼 首里城!  安仁屋眞昭 30
戦争体験をどう継承するか  三浦健治 33

絵 南地心爽 35

対談 時代と詩  上手宰 柴田三吉 58

詩人会議グループの抱負  74
北海道詩人会議 宮沢一 74  山形詩人会議 遠藤智与子 74  茨城詩人会議 川澄敬子 74
群馬詩人会議 大塚史朗 75  彩グループ はなすみまこと 75  千葉詩人会議 宮本勝夫 75
武蔵野詩人会議 高田真 76  グループ耕 藍原ゆみ 76  このゆびとまれ 大釜正明 77
ポエム・マチネ 吉村悟一 77  横浜詩人会議 府川きよし 77
新潟詩人会議グループ おおむらたかじ 78  水脈の会 佐野周一 78
長野詩人会議 八町敏男 79  はりみち詩人の会 野崎常夫 79  愛知詩人会議 長谷川節子 79
京都詩人会議 呉屋比呂志 80  大阪詩人会議 原圭治 80  神戸詩人会議 玉川侑香 80
わかやま詩人会議 南地心爽 81  岡山詩人会議 松田研之 81
グループ・ミモザ くにさだきみ 82  広島詩人会議 目次ゆきこ 82
愛媛詩人会議 横田重明 83  福岡詩人会議 なかむらみつこ 83
佐賀県詩人会議 こうずまさみ 83  ながさき詩人会議 永山絹枝 84
熊本詩人会議 杉本一男 84  鹿児島詩人会議 宇宿一成 85  沖縄詩人会議 中正勇 85

ひうちいし 楊原泰子 齋藤貢 田上悦子 86

詩作案内 わたしの好きな詩 東野正  斎藤彰吾 88

詩作入門 一、生きているふしぎ  有馬敲 90

現代詩時評 ヘイトと諷刺 柴田三吉 92
詩  集  評 さまざまな自然 魚津かずこ 94
詩  誌  評 詩作は五感の釦がけ 田上悦子 96
グループ詩誌評 九州の活躍 全国の元気 洲史 98

自由のひろば 選・草野信子/佐々木洋一/都月次郎 100
立会川二郎/北川ただひと/新田良夫/いいむらすず/檀上桃子/坂田敬子/新見かずこ

詩人会議通信 109 詩作2019報告 編集部 113 読者会報告 11月号 佐藤和英 114
●表紙(「2017年中国麗江市」)/扉カット 鄭周河 表紙写真あれこれ 柳裕子 116 編集手帳 115


●詩作品

海水が熱い  都月次郎

海水が熱い
切符を知らない子供が電車に乗っている夜
太平洋でサンマが煮えている
一〇〇年に一度の豪雨が毎週やって来る
段ボールの中で子猫が四匹団子になっている

海水が熱い
知事と大臣が料亭で酒宴
堤防が黙って崩れている
避難所の外でホームレスが震えている

海水が熱い
地震 カミナリ 竜巻 失業
洪水 土砂崩れ 堤防決壊 消費税
泥流 水没 地滑り 汚染土
オーイ ねえちゃんあついよー
裸のトランプが世界を搔き回す

海水が熱い
電柱が折れる
鉄塔が折れる
道路が折れる
鉄橋も折れる
暮らしが折れる
気持ちが折れる
希望が折れる

海水が熱い
文学的な気象庁
いのちを守って
大切な人を守って
救助してくれませんか?
自分のいのちは自分で守りましょう

海水があああああああああああああっち~い!

 

 

●編集手帳

☆新しい年は、詩人会議の存在が問われる一年になる、といえます。憲法改悪、言論、表現の自由を抑圧しようとする流れを拒否していきます。
☆「新春作品特集」にご寄稿いただきました会外のみなさまにお礼申し上げます。
☆上手宰、柴田三吉さんの対談「時代と詩」は、昨年の平和集会(8月)でなされた記録です。お二人の、いまの社会のなかでの詩作態度、方法についての率直で熱い発言に、強い刺激を受けます。
☆「詩人会議グループの抱負」は、代表者のみなさんにグループの現状や抱負を述べていただきました。全国各地のグループのエネルギーは、詩運動の中心です。その地道な活動は、さまざまな困難をかかえていますが、詩の力を発揮しようという意志は堅いものです。それらを確認しあうことで、さらに持続と詩作を。
☆今年の表紙写真(韓国の写真作家・鄭周河氏)の題材(表紙写真あれこれ・柳裕子さん)は、詩を書く人の若々しい精神のシンボルとしての世界の子ども、若者たちです。(秋村宏)

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