2019年12月号 二〇一九年全国詩誌代表作品集
二〇一九年全国詩誌代表作品集
北海道・東北
阿字 佐野のり子 みどり色の夢 6
北の詩手紙 山崎洋一 燃える真冬日 6
弦 渡辺宗子 海に伝える 7
斜坑 上條勝芳 短詩二篇 8
新詩脈 宮本史朗 米寿 8
日本海詩人 悠木一政 父の肋 9
表象 万里小路譲 発言権 9
北極星 北上和子 故郷からのたより 10
火窪 浜田とうへえ 草の根 10
関東
■い 松田悦子 体 動かさねば(ミラノの街で) 11
炎樹 仲玲央 道草 12
かねこと 新井啓子 影の人 12
京浜詩派 石田百夏 空襲に消えた誕生祝い 13
国鉄詩人 生駒孝子 あと3時間 14
彩 渋谷玲宏 ウズンボ 15
冊 中村明美 ちいさな長靴で 15
じゃからんだ 亀田道昭 無言の夏 16
じゅげむ 美砂 遺作 17
想像 羽生康二 江の島が見える浜辺で 17
タラの木 山田政一 流星(一九六五年) 18
タルタ 高澤静香 液状化 19
同時代 加藤三朗 令和元年五月 19
凪 星清彦 僕はもうじき駄目になる 20
花筺 昼間初美 燃える空 20
伏流水 うめだけんさく 窓 21
澪 上山雪香 待つ 21
夜明け 梁瀬和男 闇の中を帰るとき 22
文集あしあと 上條和子 片便り(からすみ) 22
東京
いのちの籠 森田和美 従軍慰安婦 23
櫟 灰山かずら 秋は 24
耕 藍原ゆみ 記憶の石垣 24
このゆびとまれ 坂田トヨ子 待っていたよ 25
詩人の輪通信 内田武司 あの夏の日に 26
詩都 近藤静生 いまは夢ひと夜 26
1/2 芝憲子 傘と帽子 27
ポリフォニー 熊沢加代子 小さな夜 27
真白い花 村尾イミ子 空に還る 28
飛揚 大塚史朗 産土風景 28
ポエム・マチネ 児丸久 一週間 29
中部
ジャンクション 柴田三吉 譲る 35
樹 せきぐちさちえ 庭石 36
水脈 浜本はつえ 車窓より 36
地平 豊田智慧子 殺人ロボットと化して 37
新潟詩人会議通信 首藤隆司 ウォーキングのお友だち 38
野の草など 鈴木良一 遠くへ行きたい 38
狼煙 宮田京之亮 歌の還りを待っている 39
はりみち 山越敏生 表彰された娘 39
ぱぴるす 椎野満代 月と凱旋門 40
沃野 吉田豊 巣鴨プリズンからの手紙 40
近畿
青い風 河勝重美 ごめんね母ちゃん 41
石の森 前川晶葉 カプセル 42
苺余果 藤の樹々 軍服(十五文字抄) 43
イリヤ 尾崎まこと 立っているのは? 43
軸 TAMAKO 訪問者 44
憧憬 三浦千賀子 詩は何のために 44
朱雀 西田純 自分 45
鶺鴒 和崎くみ子 表札なし 46
Soliste 岩井洋 猫のいる風景 46
多島海 松本衆司 朝、発条仕掛けの螺旋を巻く 47
天童山文庫 武村雄一 わたしというのは 48
野の花 松浦富子 ニートさん 48
はだしの街 山本万里 おだやかな日々 49
100円詩集 小田凉子 家を後に 50
プラタナス 平田正昭 空 50
放課後 白井ひかる 踊るレジ袋 51
鉾 青木春菜 器たちの宴 51
PO 牛島富美二 山帽子 52
ぽとり 武西良和 鯉幟は泳ぐか 53
窓 恋坂通夫 大晦日 53
まほろば たかはらおさむ 刃傷 54
三重詩人 中山巧 墓掘り人の死 55
中国・四国
詩民 大垣由香里 雨の行方 56
兆 西村雅人 いちどだけの訪問 56
道標 広藤キシノ 井戸 57
ネビューラ 日笠芙美子 影あそび 58
腹の虫 くにさだきみ 穴カンムリ ノ 鼠タチ 58
菱 井上嘉明 青竹 59
ほのお 横田重明 老人の特権 60
グループ・ミモザ 時光梨代 ちぢむ 60
九州・沖縄
あすら 阿手川飄 年の夜 61
いちご通信 安部祥子 招待 62
御貴洛 河野俊一 夕鶴記 62
詩創 筒井星舟 禅定 63
筑紫野 藤原純子 短詩三編 63
ながさき詩人会議 山之内勉 紙飛行機 64
縄 識つかさ ちくちく 64
野火 三原竹二 ふるさとのすみか 65
複眼 瀬川次郎 海は泣いている 66
宮崎文学 牧野桂子 地球よ 66
エッセイ 壺井夫妻に誘われて 永冨衛 30
おはなし 詩作と視覚 南浜伊作 97
詩作品
青井耿子 チョーセンコ 67 秋乃夕陽 礼節のパペット 68 池澤眞一 樋門 69
池田恵 あるがままの自然 70 伊勢薫 砂糖水 71
板倉弘実 元徴用工訴訟原告・李春植さん 72 犬伏久美子 指輪 73
浦西登 夏のおわり 74 小川桂子 連れ合い 75 草倉哲夫 母の窓 76
黒鉄太郎 モデルは、あんただ! 77 近藤友一 夕陽が沈む街 78 志田恵 大好き 79
滝沢ひろし 短詩四篇 80 立原直人 生年~没年 81
手じまとし江 魔法のケーキ屋さん 82 橋本俊幸 浜辺 83 長谷川縁 光る闇 84
林ひろ 島で生きる 85 古久保和美 どっち 86 松﨑みき子 朝のお茶 87
Mika プラネタリウム 88 南地心爽 母の好きなものは 89 栁澤澄 霧の中から 90
山﨑清子 もろこし 91 山﨑芳美 雨の一日 92
長い詩 尾田貢 鹿尾菜を採る 93 宮前利保子 ゴーヤの櫓 94 鈴木義夫 青ネギ 95
書評 田辺修詩集『北の国へ』 三浦健治 109
水崎野里子詩集『愛のブランコ』 玄原冬子 109
斗沢テルオ小詩集 命の砦/自由という名の不自由/老人会の高齢化問題/国会の哲学者たち/記憶操作の達人たち 他 102
ひうちいし 鈴木義夫 河野俊一 山崎由紀子 106
四季連載 詩の見える風景・冬――マルクスの肖像 杉谷昭人 110
詩作案内 わたしの好きな詩 梅田智江 黒鉄太郎 112
詩作入門 十二、自由詩 中上哲夫 114
現代詩時評 広い世界に存在する詩 草野信子 122
詩 集 評 詩の根源にあるもの 高田真 124
詩 誌 評 暮らしの事柄を根底において あらきひかる 127
グループ詩誌評 言葉が返ってくる場所 宇宿一成 130
二〇一九年自由のひろば最優秀作品・優秀作品 116
最優秀作品 岡村直子 おひとりさま 116
優秀作品 むらやませつこ わたしという存在 118 北川ただひと 研ぐ 119
選評 佐々木洋一/柴田三吉/みもとけいこ 120
寄贈詩誌・詩書 132 詩人会議通信 135 詩作2019 編集部 139 読者会報告 10月号 洲史 139
●表紙(「2009年韓国」)/扉カット 鄭周河 表紙写真あれこれ 柳裕子 140 編集手帳 140
●詩作品
チョーセンコ 青井耿子
このごろよく戦争中の夢を見る
昨夜は空襲にあった夢
今朝は朝鮮民族侮辱の夢
私は入学前の年ジフテリアにかかり
右半身不随となった
国民学校令は私の就学免除を
してくれるはずもなく
一年生のときは母の背に負われて通い
二年生になって、やっと誰かに手をひかれると
歩いて行けるようになった
兄と手をつないでいると
「オトコとオンナ チョーセンコ」
そう言って通学中をはやされた
はやす方も、はやされる方も
重大な民族差別であることをわからずに
それほど当時、日本は朝鮮半島全体を植民地支配していた
支配下の民族は、いつも侮辱され
はずかしめられていたのだ
最近、日本人クリスチャンの手記を読んだ
戦争体験の手記だった
所属する小さな隊が中国の前線にいたとき
集落を急襲して慰安婦狩りをやったのだ
いったん軍隊に入れられれば
上官の命令をきかねばならず
悲しい手記だった
でも日本には
過ちては改むるにはばかることなかれ
という言葉がある
私たち日本人は謝ろう 心から 何度でも
朝鮮半島を植民地にしていたときのことを
他の国々を侵略したことを
●編集手帳
☆今年は二つの大きな災害がありました。一つは自然災害です。異常気象から甚大な被害が起きています。二つ目は人的災害です。国家と私たちの思考を一つにするために、一人ひとりの考えを奪おうとする政策が強化されています。軍事力によって命と暮らしを守れないことは明らかです。
本号の特集は、考える力をもつ人たちの多様さによって力を発揮しています。
☆今年、定期欄ほかにご執筆いただいた方々に厚くお礼申し上げます。それぞれ独自な視点からの批評に、創造力を刺激されました。ありがとうございます。
☆来年度は次の方々にお願いしました。詩作入門=有馬敲、現代詩時評=柴田三吉・上手宰、詩集評=魚津かずこ・田辺修、詩誌評=田上悦子・あらきひかる、グループ詩誌評=洲史、自由のひろば=草野信子・佐々木洋一・都月次郎。
表紙写真=鄭周河、表紙写真あれこれ=柳裕子。
改憲、言論表現の自由への圧力と対峙する小誌をご支援ください。(秋村宏)