41回(2013)『ガレキのことばで語れ』照井良平

41回(2013)『ガレキのことばで語れ』照井良平

略歴
1946年岩手県陸前高田市生まれ。中央大学卒業。
首都圏で二つの会社勤務を経てから、郷里・高田に近い岩手県の花巻市に戻り、2006年まで高校教師として教鞭を執る。退職後の現在も非常勤講師として教鞭を執っている。
詩は20代より書きはじめ、同人誌「牧歌」を経て、現在「青」・「白楊」同人。他に詩人会議会員、日本現代詩人会会員、花巻詩人クラブ会長、岩手県詩人クラブ常任理事。3・11の詩「ばあさんのせなか」が第26回国民文化祭・京都2011現代詩部門で文部科学大臣賞を受賞している。


受賞の言葉
詩集の願い 照井 良平
ありがとうございます。まず、選考委員のみなさま方にお礼を申し上げます。第1詩集が第41回壺井繁治賞を受賞することになってびっくりして、ビックリするほどびっくりしております。
詩集の内容は表題の『ガレキのことばで語れ』の通り、東日本大震災の特に津波で被災された直後の古里の姿、声を詩った詩篇ですが、未だに、目に見えた形で復興が立ち上がってきた、とは言えない状況下での受賞、さすがに元気になります。
被災に対し、金銭的な応援はなかなかできませんが、この詩集が一面で何かの役にたてたらと改めて思います。3・11と原発避難のような災害では、政治から経済からスポーツから、国のすべての営みが、価値が相互扶助の構造を持たなければ、グローバルの何たるか、経済成長の何たるかと言うもの、つまり何のための社会活動かが問われていると言うもの。有限な地球の人間社会の進むべき道の何たるか、羅針盤を見誤ることのないようにして欲しい。このように願わずにはいられない。受賞詩集の願いはそこにあります。
それにしても東京で復興、復興と掛け声ばかりの政治家たちの現地に足を運んで見よう、声を聞いてみようともしない精神細胞の組織は、どのような構造なのだろうか。
この3月末の3日間、3・11の3周忌を機に詩集の表題を掲げ「震災 詩展と写真展と朗読」の追悼行事を開催した。大震災を忘れないで欲しいとの願いを込めての開催であったが、連日切れ目のない入場者があり、朗読会は会場が溢れるほどの盛況であった。受賞の知らせは、この行事の準備の最中でありましたから、さらに格別の嬉しさが込み上げてきました。


 


 


 

 


 


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