2024年8月号 特集 対話 平和の伝え方

2024年8月号 特集 対話 平和の伝え方


特集 対話 平和の伝え方

石川逸子 のっぺらぼうの地から
北島理恵子 上貫橋
宇宿一成 台湾の地下街で
照井良平 バチカンの使者
彼末れい子 世界地図パズル
上手宰 練習問題
柴田三吉 ガーゼ
佐々木洋一 山本モーさん
草野信子 ポスター
佐藤和英 普及率
乾茂雄 ゼロ歳の赤ん坊
救愛 タクシーの運転手さん
松村惠子 砂川秋まつりひろば
田辺修 つぶて
春山房子 武器
山﨑芳美 どこからだって
三村あきら 背戸のヨモギ
八田和代 天気予報
床嶋まちこ 戦争体験者の話を聞く
青木みつお グレタさんへの手紙
呉屋比呂志 新・琉学のすすめ
いいむらすず 西本あつし様
松田研之 歩く
田中茂二郎 ピースマーチ・イン東紀州
中原道夫 葉隠
杉谷昭人 梅雨の季節に

エッセイ
対話という方法――「戦争と暴力の時代」にしないために  岡本厚
パレスチナ/イスラエルにおける対話の消滅  早尾貴紀
子どもの本が平和の使者  田中和雄

誌上インタビュー
若い世代に平和をどう伝えるか  横山ゆみ 聞き手 編集部・中村明美

 

一般詩作品
白石小瓶 実と花
渋谷卓男 石の粉
野口やよい 青嵐
浦西登 樹
斗沢テルオ そこはパラダイス
三浦千賀子 五才の女の子も
北村真 ひかりのほうへ
秋乃夕陽 活きる、動く。
あべふみこ 終わったよ
伊藤眞司 八十代半ば
妹背たかし 今は昔
中村明美 とりかえばや

挨拶 詩人会議の新たな時代に向けて  清野裕子

書評 宇宿一成
熊井三郎詩集『おとんとおかん』
床嶋まちこ詩集『無事知らせ』

私の推す一篇

佐川亜紀小詩集  斧と祈り/女の口/アジアの花々/ラベンダー

詩作案内 わたしの好きな詩 川上明日夫  三村あきら

詩作入門 モチーフとテーマの間で  髙橋宗司

現代詩時評 詩を書くこと、詩を受けとめあうこと 北村真
詩  集  評 三者三様、それぞれの魅力的な《詩世界》 勝嶋啓太
詩  誌  評 こども時代 野口やよい
グループ詩誌評 にぎやかな合評ができている 河合政信

自由のひろば (選・坂田トヨ子/中村明美/南浜伊作)
佐藤一恵/大木武則/平林健次/高橋克知/
橋本敦士/有原野分/貴田雄介/水衣糸

寄贈詩誌詩書
詩人会議通信
表紙/扉カット/表紙のことば 山本明良
編集手帳


●特集詩作品

上貫橋  北島理恵子

欄干に 上貫橋と彫られてはあったが
かみぬきばしと読むのか じょうかんばし
なのか いまだにわからないのだという

取水門から一直線
畑を抜け 小さな橋をくぐっていた
玉川上水の分け水は
とつぜん右方向に曲げられた
橋の手前 ちょうど国構えの二画目の書き方で

太平洋戦争がはじまっていた
先祖代々の土地も
丹精して耕した農地も 二束三文
町民たちの悔し涙と引きかえに建ったのが
陸軍の技術研究所で
水路はなぜか
その広大な敷地に沿わされたのだった

ただよう薬品のにおい
鎮まることのない砂ぼこり
桜の花びらの代わりに浮いた黒い欠片は
戦況が傾けば傾くほど 水をにごらせた

訳も告げられず役目を失った
コンクリート製の小橋は
何十年ものあいだ
武蔵野の赤土のなかじっと息をひそめていた
あたらしい世紀は
他人事みたいに 見えない橋板を踏み付けて行った

団地の建て替え工事で
ぐうぜん掘り起こされた時の
欄干の憮然とした白い顔ったら―
名乗るほどの者ではないと
そっぽを向いているように見えた


●運営委員長あいさつ

詩人会議の新たな時代に向けて
清野裕子(運営委員長)

長かった自粛と行動制限の期間を乗り越えて、第三四回総会が全国の会員会友一堂に会して無事開催されました。主に財政危機を訴える内容になってしまいましたが、どうしたら詩人会議を存続させることができるか真剣な討論がなされました。皆様にとって詩人会議がどういう存在か、お一人お一人があらためて考えるいい機会になったのではないでしょうか。私も詩人会議に入会してから四九年目になります。仕事や家族の世話等で多忙であまり書けない時期もありましたが、詩人会議の存在はいつも心のどこかで大きな拠り所となっていました。
コロナ禍の四年間では会員が集う機会を失い、高齢化が進み、財政が悪化していきました。それでも詩人会議は一号も欠けることなく発行されてきました。続けられたエネルギーの源はやはり「自由に発言し、詩を通じてひととひとが繋がっていく場を守る」という思いの強さだと思います。それは実務を担ったひとたちにも、支えた全国の会員会友読者の方たちにも、共通した思いです。このエネルギーがなければ詩人会議はとっくに終わっていたでしょう。
この数年間は社会情勢や政治判断に手足を縛られ、簡単に自由を制限されることがあるという現実を思い知らされることばかりでした。戦後生まれの私にとっては「戦争中もこんな感じだったのか」と感じることが多々ありました。こういう体験をこれから詩人会議という場でどう生かしていくか、何をどう書いていくか、大きな課題でもあります。
詩にとって何よりも大切なのは、書きたい思い、伝えたい思い、伝わった時の喜びです。これを共有できる仲間との繋がり、発表の場としての詩人会議の役割の重要性は、むしろ高まっていると感じます。ひとりひとりの心の拠り所となれる詩人会議であり続けるために、私も精いっぱい努めていきたいと思います。いろいろ困難の多い状況ではありますが、一緒にやっていく仲間の皆様、どうぞよろしくお願い致します。


●「自由のひろば」投稿の手引き
*一人ひと月に一篇、一行17字×40行以内厳守。/*題名の下に名前(ペンネーム可)を入れること。原稿の末尾には住所・氏名(本名)・年齢・職業・電話番号を明記してください。封筒に「詩人会議編集部・自由のひろば係」と朱書してください。/*作品は未発表のものに限ります。グループ・同人誌等に発表予定の作品もご遠慮下さい。/*E-mail(sijin-kaigi@tokyo.email.ne.jp)投稿の際、必ず件名と送信面に住所・氏名を明記してください。


●編集手帳

☆「『台湾有事』を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」の共同代表を務められた岡本厚氏に、企画の意図と成果を書いていただきました。相互理解を生み出すため、台湾、中国の識者と行った対話。「戦争を止められるのは対話しかない」という言葉に深く納得しました。
☆対話とは他者とゆるやかに向き合い、相手を知るところから始まります。理解できないこと、同意できないことも一旦据え置いて、互いの存在を否定しないこと。そのためには相手の息づかい、感情の機微に触れることが大切でしょう。私たちの詩運動もそのようにと。
☆第三十四回総会を無事終えました。全国から多くの会員が参加し、会の継続について話し合いました。詳細は次号に掲載しますが、財政基盤を確かなものにするため会費の改定(値上げ)を決定しました。諸物価高騰の折ですが、ご理解のうえ一層のお力添えをお願いします。
☆新運営委員長に清野裕子さんが就任。前任の三浦健治さん、’19年から二期にわたりお疲れさまでした。(柴田三吉)

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