2024年 4月号 特集 原風景―心が帰る場所

2024年 4月号 特集 原風景―心が帰る場所


特集 原風景―心が帰る場所

飯泉昌子 ノック
柳瀬和美 初めての海
斗沢テルオ 母の通信簿
伊藤眞司 古い風呂敷づつみ
呉屋比呂志 窪地の人
田辺修 東寮
芝原靖 いまでも
妹背たかし 爪を噛む君のもとへ
春街七草 傷だらけ中学生時代
三浦千賀子 たった一つの
あべふみこ 雑木林への道
森下厚司 ジョウビタキ鳴いていた
上野崇之 〝ふるさと〟は遠きにありて
高嶋英夫 海よ
菅原健三郎 沖縄の土
小田凉子 あの朝
清水マサ 惜別
大西はな 歩んで行く

エッセイ
詩の生まれる瞬間  うえじょう晶
新興住宅地の少年  渋谷卓男
父がくれた殺し文句  野口やよい
人間としての宿題  くらやまこういち
海音  玄原冬子

原発事故の現在 震災はどう描かれたか(後編)  齋藤貢
尹東柱の暮らした街で  中村純
パブロ・ネルーダの遺言  荻原梨絵
独裁者と文学  荻原紗希

歴代運営委員長論
政治詩のさまざまな試み・浅尾忠男  三浦健治

坂田トヨ子 アオサギの孤独
御供文範 かじりかけのりんご
田島廣子 凧あげ
いわじろう ポケット
佐藤和英 皹
春山房子 面会のあと
細田貴大 休もうとせずに
三村あきら 暦をめくる
光谷公男 福島原発事故風化
いいむらすず 13回目の3月
加藤徹 ヨクシリョク
なたとしこ 呪文のように
加澄ひろし 沈黙

書評 宇宿一成 いだ・むつつぎ『笑い声』
佐々木洋一 横山ゆみ詩集『こコロのナカ』
あべふみこ詩集『虹のことば』
髙橋宗司詩集『芭蕉の背中』

竹井みよ子小詩集  不安/母の名前/ばくだん/おかし かう/残す/イナイイナイバア

詩作案内 わたしの好きな詩 吉野弘  柳沢澄

詩作入門 疑うことで社会を良くしたい  横山ゆみ

現代詩時評 喜劇の舞台裏を見つめる 北村真
詩  集  評 愛する人の死と真っ直ぐに向き合い 勝嶋啓太
詩  誌  評 気づかぬうちに 野口やよい
グループ詩誌評 みなさん、すごいすごいすごい 河合政信

自由のひろば (選・南浜伊作/坂田トヨ子/中村明美)
有原悠二/井上進/やまくま/天王谷一/雨野小夜美
/藍眞澄/救愛/高橋克知/水衣糸

寄贈詩誌・詩書
詩人会議通信
●表紙/扉カット/表紙のことば 山本明良


●詩作品

ノック  飯泉昌子

なぜ人は死ぬのだろう

子どもの頃
夕やみの中で
突然不安になった

今生きている人は
みんな
ずーっと生きられればいいのに

そんな事
誰にも話せず
そのうち忘れ

気がついたら
大人になっていた

私をノックするように
「メメント・モリ」

今を大切に
生きているだけでは
ダメですか

「メメント・モリ」「メメント・モリ」
ノックするのは
だれ


●編集手帳

☆だれにとっても、心が帰る場所=原風景があることと思います。それは懐かしい場所や、よろこびの出来事だったり、つらく悲しい思い出だったりします。けれどそれらはかけがえのない種子となって、私たちの詩の源流になることもあるでしょう。人は過去という根を支えに枝を広げる一本の樹木です。
☆いま戦争や災害のさなかで生まれ、育ち行く子どもたちにとって、原風景がどのようなものになるのか危惧しています。生の出発点でのむごい経験が拭えない記憶として刻まれるなか、人の愛、優しさに触れ、憎しみではなく希望に転換されることを願ってやみません。
☆歴代運営委員長の詩人論は「浅尾忠男論」を掲載。昨年十月号からの減ページに伴いこの企画を一旦終了します。三浦健治さん、長い間お疲れさまでした。
☆ヤマトDM便が廃止。日本郵便への移行で本誌の配送が遅れています。送料の値上げもあり、文化を破壊するこの国の現状に怒りを覚えます。困難は多々あれど、負けずに頑張りましょう。(柴田三吉)

コメントは受け付けていません。