2021年5月号

2021年5月号


◎目次

特集 走る 泳ぐ 五輪

佐々木洋一 フダン 4  北島理恵子 ちゃふらふすか 5  織田英華 国道 6
宍戸ひろゆき 走る心理 7  白永一平 走る走るお嬢さん 8
小泉克弥 オリンピック狂騒曲 9  おぎぜんた 走る人 10
あさぎとち カー☆チェイス 11  斗沢テルオ 山の奥の奥のオリンピック 12
山越敏生 「JR上野駅公園口」ほか 13  高嶋英夫 聖火リレー 14
上野崇之 苦い決別 15  妹背たかし 走り・逃げる 16
坂田トヨ子 もう走れないけれど 17  横田重明 ゴール直前 18  上山雪香 歓声 19
宮沢一 整然と 20  奈木丈 遠い国から 21  池田恵 助走 32
いいむらすず 表彰状 33  狭間孝 ニッポン cha-cha-cha! 34
豊田智慧子 名前を唱えて祈る 35  菅原健三郎 些細な想い 36
黒鉄太郎 けどね 楽しみたい五輪 37  かわかみよしこ 水泳教室 38
床嶋まちこ 五十メートル 39  山﨑芳美 人生 40  田上悦子 母の声 41
大塚史朗 泳法 42  水崎野里子 走る 43  西明寺多賀子 五輪とその後 44
田辺修 五輪再考 45  河合政信 東京五輪音頭・三波春夫でございます 46
佐相憲一 詩人打線の夜 47

エッセイ
誰に何を何の為に与えるのか  くらやまこういち 48
東京五輪・パラリンピックに思う  宮本勝夫 52
オリンピック映画は訴える  石子順 56

写真 岡村啓佐 31

発言 東京五輪についての私の態度
乾葉子 22  魚津かずこ 22  河合恒生 23  北沢美佳 23  木村勝美 24  里崎雪 24
髙嶋英夫 25  田中茂二郎 25  田畑悦子 26  玉造修 27  檀允心実 27
津布工修 28  刀根蛍之介 28  古久保和美 29  まえだ豊 29  村田靖 30  山川茂 30

新人賞 第55回詩人会議新人賞 62   総評 71  選評 72  選考経過 73
詩部門 入選  吉岡幸一 名前 63
佳作  生田麻也子 羽化 65  小田凉子 母のミシン 67
渡邊あみ 青いマフラー 69

一般詩作品
呉屋比呂志 杣人の憂い 74  おおむらたかじ 草取りの、姉妹バアバは元気です 75
山口賢 近況 76  洲史 百年の悲鳴 77  いわじろう 飽きない色 78  池島洋 種田商会 79
草倉哲夫 夏の思い出 80  坂杜宇 灯り 81  永山絹枝 雲一つない青空なのに 82
白根厚子 七十八年目の雛まつり 83  田島廣子 一緒に歩いた道歩きたいね 84
石関みち子 遠い日のうた 85  伊藤眞司 反旗 86  清水マサ 新潟 山峡の村で 87
彼末れい子 採卵用バタリーケージ 88  北村真 月が谷 89

書評 宇宿一成 草野信子詩集『持ちもの』 94  木村勝美詩集『羽をつけました』 94
魚津かずこ詩集『人は、それほど多くのものを持っていない』 95  檀允心実『星の後ろ姿』 95

ひうちいし 長沢美沙子 宮﨑多賀子 菊池晴知 青井耿子 山崎由紀子 横田重明 山川和夫 96

私の推す一篇 2021年4月号 101

鈴木義夫小詩集  無人駅/夜売り峠/ダイヤモンド婚/マスク 90

詩作案内 わたしの好きな詩 松野緑  春山房子 102

詩作入門 失われたものという種  上手宰 104

現代詩時評 コロナは戦争のメタファーたり得るか 立原直人 106
詩  集  評 傲慢な自然破壊がもたらすもの 田辺修 108
詩  誌  評 滋味あふれる奥深い詩を 後藤光治 110
グループ詩誌評 豊かな個性が詩に彩りをみせて 上岡ひとみ 112

自由のひろば 選・草野信子/都月次郎/おおむらたかじ 114
御供文範/髙橋宗司/岡村直子/田村きみたか/大久保ゆり/村口宜史/立会川二郎

新基地建設反対名護共同センターニュース 100 詩人会議通信 123 詩人会議グループ一覧 表3
●表紙/扉カット/表紙のことば 宮本能成 128 編集手帳 128

 

 

◎特集詩作品

フダン

佐々木洋一

ピクニックのような気持ち
すっかり板に付いている
でもどこかはずまないのは
雨が降り続いているせい

てるてる坊主をぶら下げても
ぶら下がっているのは
なまあくび

晴れないね
十年たっても晴れない
十年たったらますます晴れない

風も雨も海も地も水も生き物もウイルスも
地球の際から喘ぎながら叫んでいる
やめてくれ おさえてくれ
とまどってくれ ひかえてくれ たたずんでくれ
くれ
くれくれ くれくれ
何にもいらんと言っとくれ

令和三年のハレまたハレの日
しばし質素に堪えていた人の群れは
あちらこちらで祭りの大騒ぎ
晴れない間に間には
特大オリンピックの打ち上げ?

さて
フダンはどこへ行った
ハレ祭りに侵された繁華街のフダン
フダンの行い
あっぺとっぺのそら吹く風


◎編集手帳

☆今月の特集は「走る 泳ぐ 五輪」。3月25日、東京五輪・パラリンピックの聖火リレーが、福島県楢葉町の「サッカー」施設からスタートしました。一体、なんだろう? と思います。「復興五輪」などとまやかしの言葉で、原発事故のため双葉町ではまだほとんどの人が住めないのに、福島から出発させる厚顔。国民の70パーセント以上が中止か再延期を求めている声も無視。いのちを最優先しない政策です。それらに象徴される日本社会の仕組みの闇や、一つの方向に熱狂させようとするマス・メディアもみつめていこうではありませんか。
☆エッセイや発言のみなさんの言葉は、個・独自であり、多様であり、平和を求めており、それはアスリートの志とおなじではないでしょうか。
☆第55回詩人会議新人賞は詩部門入選・吉岡幸一、佳作・生田麻也子、小田凉子、渡邊あみさんです。評論部門はなし。62頁参照。みなさんのこれからの詩作のいっそうの発展を願っています。
(秋村宏)

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