2025年9月号 特集 戦後80年 明日へ Ⅱ

2025年9月号 特集 戦後80年 明日へ Ⅱ


特集 戦後80年 明日へ Ⅱ

白石小瓶 ぼくらの空
芝憲子 沖縄に ほんとうの
春街七草 我が家の戦争加害
八田和代 私の名前
三村あきら 陽の丘の桜
斗沢テルオ 墨塗りの教科書
床嶋まちこ 戦場から生還
佐藤誠二 修学旅行
関口隆雄 戦争は…
乾茂雄 友と歩けば
秋乃夕陽 何も知らない
田畑悦子 最近
高嶋英夫 平和のために
わたなべとしえ 特別な夏だから
髙橋宗司 戦後八〇年へ
佐々木洋一 かじったもの

エッセイ
慟哭・鎮魂から明日を探る
――『全国引揚詩・引揚手記記録集』第1巻 満州篇(詩篇)・第2巻(手記篇)を読む  瀬野とし

小特集 私の音楽
横田重明
穂積一平
呉屋比呂志
山田よう
春山房子
山﨑芳美
妹背たかし
いわじろう
田辺修
阪南太郎
大杉真
小林信次
坂杜宇
伊藤眞司

エッセイ
『奇妙な果実』と私とジャズと  吉田義昭
初の感動は6歳  黒鉄太郎
あなたの音楽キャリアを活かしてみませんか?  佐藤和英
私の音楽 第三章  あべふみこ
あたりまえの日々を願って  飯泉昌子
音の追憶  檀允心実
九〇年代僕らを熱狂させた音楽の正体  あさぎとち
ラムネの唄 心の中の日陰  青沼詩郎

二〇二五年詩人会議全国運営委員会
記録・アピール・アルバム・参加者の感想・グループ交流会

一般詩作品
赤木比佐江 ねじ花
永山絹枝 夫さんとソフトボール
坂田敬子 晴れた日は
畑中暁来雄 暑気田畝
小泉克弥 根競べ(コンクラーベ)

書評 佐々木洋一 なかむらみつこ詩集『暮らしのはざまで』
黒鉄太郎 高細玄一詩集『87歳のかわいい探偵は88歳になりました』

ひうちいし 高細玄一 池島洋 南浜伊作 山口光子 立石百代子 清水真理

宍戸ひろゆき小詩集
みどりいろにみどりいろ/風をつかむ/ハートバトの絵描き唄/ぽろぽろの唄

エミリ・ディキンスンの詩を読む⑧ 詩人の脳とAI  魚津かずこ

詩作案内 わたしの好きな詩 山之口貘  妹背たかし
私の推す一篇

詩作入門 思いが心の奥からほとばしるように  森智広

現代詩時評 詩を求める 芝原靖
詩作2025合評風景
詩  集  評 詩が死を超えようとする 山野次朗
詩  誌  評 詩は尊い人を呼ぶ 照井良平
グループ詩誌評 振り返ると女性が…頼もしい 河合政信

自由のひろば (選・中村明美/横山ゆみ/渋谷卓男)
三明十種/有原野分/原順子/サイキシオリ/佐藤一秋
/山根信良/藍眞澄/大木武則/橋本敦士/天王谷一

詩人会議通信
表紙/扉カット/表紙のことば 中島和弘
編集手帳


●詩作品

ぼくらの空  白石小瓶

誰が空に
線を引くだろう
いたずら書きをするだろう

空は 空のもの
誰にも侵されず
誰の手にも収まらない

それでも
ぼくらの空と呼び
想いを馳せたり
未来を下描きすることは
ゆるしてくれている

その深いふところから
光が
雨粒が
鳥の音が
銀河のしずくが
声なき声が
こぼれ落ち
世をうるおす

日が沈めば
どこの国の誰もかれも
疲れを投げ出し
仰向けになり
ひとつきりの天蓋を
均しくまといあえる

そこから殺意が降るという
まちがいが起こらぬ限りは


●編集手帳

☆ウクライナ、ガザの停戦が見通せないなか、イスラエルによるイラン攻撃が行われました。さらにアメリカが核施設への空爆をし、世界情勢は緊迫の度を増しています。日々、市民や兵士の死者数が伝えられるたび胸が締め付けられ、日めくりに伸ばす指が震えます。
☆こうしたなか七月の参院選は、外国人差別や憲法に反する公約を掲げるポピュリズム政党が議席を増やしました。今後、人権抑圧の拡大を危惧します。
☆8月号の特集「戦後80年 明日へ」は多くの作品が寄せられたため続編としました。平和を求める思いの結集。また瀬野としさんの満州開拓団の戦後を描いたエッセイは、侵略の歴史と引揚者の苦難を綿密に伝えて胸を打ちます。
☆小特集は「わたしの音楽」としました。音楽は言葉に先立って、人の心の奥深く宿るもの。その母体は色彩に満ちた声です。彩り豊かな声に、祈りの言葉が乗せられ、原初的な詩が生み出されてきました。詩はつねにその根底で音楽に支えられているのでしょう。(柴田三吉)

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