2025年3月号 特集 天災と人災のはざまで
特集 天災と人災のはざまで
畑中暁来雄 変異与戦禍
髙橋宗司 福島
高細玄一 透明な数字
芝原靖 編み込む
わたなべとしえ あきらめないリンゴの詩
坂杜宇 ひっそりと
妹背たかし 村を捨てる
八田和代 一人の女の子
あらきひかる 記念写真
佐藤和英 ウクライナ掌編詩
秋乃夕陽 つくりだすもの
あべふみこ 理不尽な季節
山﨑芳美 どう生きるか
大杉真 青い鳥になって
エッセイ
環境破壊と気候変動 金蔵拓郎
ガザ、ホモ・サピエンスの危機 長沢美抄子
原発事故の現在 木村孝夫
ウクライナにおける文化財被害 渋谷卓男
海外詩
中国 詩で何をするのか――呼びかけにこたえて 石子順
追悼 谷川俊太郎さん
ノーベル平和賞をあげたい! 田中和雄
沖縄報告 沖縄県民大会成功! 芝憲子
一般詩作品
松田研之 小さな詩片
清水マサ 秋の夕暮れ
春山房子 救急
坂田敬子 夕餉
西明寺多賀子 つまらない日
いいむらすず 能登の音がする
水崎野里子 谷川俊太郎さん追悼
原圭治 絵本
山田よう デーデ
三田麻里 卵拾い
永山絹枝 お正月にサンタさん
里崎雪 がんばれよタイガー
奥田史郎 「三行半」の素顔
いわじろう 旅立つよろこび
ひうちいし
北島理恵子 青木みつお 原圭治 照井良平 河野俊一 美異亜 竹内順子 大川陽一 呉屋比呂志
書評
佐々木洋一 青木みつお詩集『にっぽんスパナ村』
黒鉄太郎 三浦千賀子詩集『たった一つのいいこと』
都月次郎 うえじょう晶詩集『バー ミー トー リョ―』
南浜伊作 吉井逸子(千島ミツ子)著『私という奇跡』
山川茂小詩集
敬虔/使者/神秘/希求
私の推す一篇
エミリ・ディキンスンの詩を読む② 「蜘蛛は芸術家として」 魚津かずこ
詩作案内 忘れないでほしい詩人 山田かん なかむらみつこ
詩作入門 詩を書き始めた頃のことから かわかみよしこ
現代詩時評 いまは昔 芝原靖
詩 集 評 矢のような言葉を放つ 山野次朗
詩 誌 評 詩は楽しく悩み、詠み書く 照井良平
グループ詩誌評 記憶から広がるもの 青木春菜
自由のひろば (選・中村明美/横山ゆみ/渋谷卓男)
大原加津緒/藍眞澄/有原野分/小林信次/谷口律子
/井上進/大久保百合太/大木武則
寄贈詩誌詩書
詩人会議通信
●表紙/扉カット/表紙のことば 中島和弘
編集手帳
●特集詩
変異与戦禍 畑中暁来雄
天然反逆晩春寒
極北虚空炎夏残
世界蒼民憎猛政
人災動乱地球歎
(上平声 十四寒の韻)
(書き下し文)
変異と戦禍
天然の反逆 晩春は寒しく
極北の虚空 炎夏は残し
世界の蒼民 猛政を憎しみ
人災の動乱 地球は歎く
(語意)
蒼民=すべての人々
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☆いにしえよりさまざまな天災が人びとの暮らしを苦しめてきました。地震、天候不順、疫病など、それらは人間の力が及ばないところで起きたものですが、現在世界を席巻している天災と呼ばれるものは、人類の行き過ぎた活動によって拡大されたものがほとんどです。
☆「人新世」という地質年代表記が新たに提唱されているように、それらは産業革命以後の人類の活動(CO2の大量排出、化学物質、核廃棄物の拡散、戦争による環境破壊等)が地球の気候や生態系に影響を与えているものです。原因は明らかですが、全体的な対処は遅々として進みません。グローバル社会は目先の経済成長を優先し、後世に残す負の遺産について真剣に考えていないのが現実です。
☆私たちはいま、当事者として暮らしを点検し、草の根からの発信と行動を強めていくべきでしょう。エッセイは金蔵拓郎、長沢美抄子、木村孝夫、渋谷卓男各氏に、それぞれの場からこの問題を考えていただきました。穏やかな春を強く願う日々です。(柴田三吉)