2025年1/2月合併号 新春作品特集95篇

2025年1/2月合併号 新春作品特集95篇


●もくじ

新春作品特集

寄稿
八木忠栄 ふるえる森 52
河津聖恵 百年の砂漠 53
冨岡悦子 相対的に備えのよわい胴体のわたし 54
伊藤芳博 世界は 55
網谷厚子 冷めやらず 56
岡野絵里子 月と舟 57
本多寿 はぐれた羊たち 58
沢田敏子 空を飛ぶ鳥も地を這う蛇も 59
齋藤貢 棘の痛み 60
石川逸子 消毒液 61
河野俊一 違ったものが 62
青木由弥子 ほどく 63
杉谷昭人 カササギの声 64
中上哲夫 八十五歳 65
松下育男 わたしの詩を読んでください 66
中原道夫 台風一過 67
嶋岡晨 もぐらの歌 68
井坂洋子 悔い 69
荒川洋治 横浜 70

 

新春によせて

五歳の先生に教わる 田中和雄 46
女性の半世紀 清野裕子 48
ある坂道の話 上手宰 50
「ノー・パサラン」 極右を通すな 緒方靖夫 72
「戦争前夜」の沖縄から、前方に光を求めて 桜井国俊 74
平和のために、自主的に活動する高校生たち 望月照己 76

 

宇宿一成 巨木 6
上手宰 帰り道 7
瀬野とし 足湯 8
北村真 手つなぎ 9
北島理恵子 日本橋 10
高田真 ひかりの掌 11
横山ゆみ 雪の日の画用紙に 12
野口やよい ケヤキ 13
佐川亜紀 やさしい水 14
芝憲子 核NOへ 詩の足 15
うえじょう晶 ヤンバルクイナの赤き眼よ 16
熊井三郎 煙と異臭 17
彼末れい子 『サリマライズ』の歌 18
柴田三吉 楽器 19
南浜伊作 口惜しかった思い出 20
奥田史郎 鉄砲弾の眼 21
榊次郎 陽はまた照らす 22
木村孝夫 夏 23
玄原冬子 灰色の瞳 24
後藤光治 犬獲り 25
こまつかん 芝刈り型探査機 26
佐相憲一 下小船津浜の横浜人 27
おおむらたかじ 鯉濃 28
渋谷卓男 枝豆の思想 29
黒鉄太郎 眠りについて 30
中村明美 小豆沢で 31
武田いずみ 路線バス 32
坂田トヨ子 帰るところは 33
都月次郎 こころが折れる 34
佐々木洋一 もどかしさ 35
白石小瓶 冬の景色 36
上山雪香 交差 37
照井良平 舞 38
立原直人 この胸の中に 39
丸山乃里子 サクラ 40
松村惠子 日曜日の朝は 41
いいむらすず 百年先に見えるもの 42
遠藤智与子 わたしたちは滅びない 43
河合政信 石破さんのセンターマイク 44
清野裕子 虹のあとで 45
高嶋英夫 地球儀 78
加澄ひろし 地動説 79
青木みつお 石畳 80
あさぎとち あちらの旅人 81
大久保せつ子 時を歩く 82
大木武則 山茶花 83
坂田敬子 拾いもの 84
斗沢テルオ 我が貧乏自慢の詩 85
古野兼 喃語 86
たなかすみえ 好きな場所で 87
たからきれい 赤い花 三りん 88
小田切敬子 ほおずき 89
浦西登 樹 90
乾茂雄 平和を始めないか 91
三村あきら 現をかえる 92
田辺修 昨年が八十年なら 93
佐藤誠二 満州帰国婦女の母は 94
伊藤眞司 黄色いむかし 95
ハマダ・テツロー 二枚のポスター 96
三田麻里 ウクライナのひまわり 97
山﨑芳美  よい年にしなくては…… 98
畑中暁来雄 お花畑 99
河合恒生 コロニアリズム 100
秋乃夕陽 蟻 101
いわじろう 解放 102
草倉哲夫 詩二篇 103
永冨衛 蛇の道 104
山口修治 思わぬ再会 105
妹背たかし 春先の出来事 106
八田和代 茶ぶ台 107
西明寺多賀子 ふと相思相愛 108
佐藤一秋 門出 109
狭間孝 先山千光寺参り 110
わたなべとしえ 爪再生の詩 111
加藤三朗 頌春 112
田中茂二郎 空気 113

ひうちいし 熊井三郎 いむらようこ 坂田トヨ子 佐藤一秋 玉川侑香 伊藤芳博 118

書評 南浜伊作 くらやまこういち詩集『ほぉしたぃ』 121
北島理恵子 佐川亜紀詩集『その言葉はゴーヤのように』 121

私の推す一篇 145

高橋宗司小詩集  或る一輪挿し/ももいろ/息子/決然と/手の讃歌/消滅について 114

エミリ・ディキンスンの詩を読む① 「わたしはこの世で誰でもない! あなたは?」  魚津かずこ 122

詩作案内 わたしの好きな詩 茨木のり子  ハマダ・テツロー 124

詩作入門 ジタバタとわらにすがって  遠藤智与子 126

現代詩時評 時限爆弾をかかえて 宇宿一成 128
詩  集  評 染み入る言葉の奥にあるもの あらきひかる 130
詩  誌  評 傷められても 白石小瓶 132
グループ詩誌評 変容する世界の中で 青木春菜 134

自由のひろば 選・渋谷卓男/中村明美/横山ゆみ 136
大原加津緒/気駕まり/橋本敦士/有原野分/やまくま/チサトモリベ/佐藤一恵/井上進

詩人会議グループ一覧 154 詩人会議通信 146
●表紙/扉カット/表紙のことば 中島和弘 156 編集手帳 155・156


●詩作品

巨木
宇宿 一成

幾千年
育ち続けて
巨木は倒れた

木がひたすら
天を目指す間に

人は
家を作り
村を作り
街を作り
富を作り
文明を作り
貧困を作り
疫病を作り
戦争を作った

樹高二十六メートル
幹回り八メートル

幾本もの木を束ねたような
いびつな樹形は
深い山の中で伐採されない理由だった
折れた幹から漂う香りは
あるいは結晶し
あるいは腐敗した時間だ

*弥生杉・樹高26メートル、胸高周囲8・1メートル、
推定樹齢3000年 令和6年・台風10号により倒木


●編集手帳

☆’24年ノーベル文学賞が韓国のハン・ガン氏に贈られました。氏は光州事件を描いた『少年が来る』等で、自国の政府が行った市民の虐殺を掘り起こし、人びとの癒えることのない傷を描いてきました。その酷さと向き合うために作者は深く傷つきますが、作品を読む者もまた作者の傷を負うのです。そこに文学の浸透力が生まれるのでしょう。悲惨な出来事が続く世界に向かって、私たちの詩もそうした表現を目指したいと思います。
☆本誌は今年から一・二月号を合併号としました。新春作品特集には全国の会員・会友から80篇近い作品が寄せられ、心強い出発となっています。加えて会外の詩人・識者の皆さまより素晴らしい作品とエッセイを寄稿していただきました。心よりお礼申し上げます。
☆新連載コラム「エミリ・ディキンスンを読む」を、ディキンスンの研究者である魚津かずこさんに一年間書いていただきます。表紙は造形作家で詩も書かれている中島和弘さんにお願いしました。どうぞお楽しみください。(柴田三吉)

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