2026年1・2月号 新春作品特集105篇

新春作品特集
寄稿
井坂洋子 光速バス
八木忠栄 泥んこの道
河津聖恵 根府川駅にて
冨岡悦子 定義
沢田敏子 ペイン
伊藤芳博 パレスチナに行く
河野俊一 行進
石川逸子 雲のお喋り
宮尾節子 早春
齋藤貢 はだかをぬぐう
網谷厚子 帰れない
杉谷昭人 母の生家
中上哲夫 手紙
青木由弥子 似姿
松下育男 人の文字
岡野絵里子 小さな青のしるし
本多寿 空のさえずり
荒川洋治 白鳥
アーサー・ビナード 浪江今昔
新春によせて
小さなできごと 大きな事件 清野裕子
締め切りをありがとう 上手宰
生まれたよ ぼく 田中和雄
軽やかで危険な政権 岡本厚
気候転換点を越えた新時代を沖縄で生きる 桜井国俊
わが青春のベトナム 緒方靖夫
北沢秋恵 月と地球
渋谷卓男 縫う
北島理恵子 to be continued…
草野信子 球根
佐川亜紀 アマミホシゾラフグ
うえじょう晶 時の節目に
芝憲子 辺野古の椅子
中村純 骨のかたち
吉田義昭 遠い船出
玉川侑香 白旗の家
南浜伊作 原爆後家が言い続けたこと
熊井三郎 遺族 捜しています
奥田史郎 スパイを知らないスパイたち
青木みつお ウクライナの森
三尾和子 花火
小田凉子 祖母の言葉
竹井眞人 オオカミがきた
坂杜宇 ともかくは
佐藤誠二 お買い得ですよ
おおむらたかじ ふるさとの冬の空の下
高田真 輪(ロンド)
洲史 平和の四条件
木村孝夫 嗅ぐ癖
佐々木洋一 ごま油がたりない
田中茂二郎 東京駅の別れ
宇宿一成 父とゆく道
都月次郎 夢の旅人
みもとけいこ 己を折る
北村真 チョーク
古道正夫 山頂の家
中村明美 おめでとう
丸山乃里子 砂の粒
照井良平 オカリナのふるさと
菅原健三郎 縄文の息吹
浦西登 樹の5行詩
後藤光治 同窓会
斗沢テルオ 消えゆく賀状に愛を込めて
伊藤眞司 命あるかぎり
坂田トヨ子 素敵な仕事なのに
山田よう 理科教師
尾田貢 鱛をつくる ⑴
三村あきら 雨降りお陽さん
いわじろう パラドックス
あさぎとち The delicious place of age
田辺修 旅立つということ
高嶋英夫 どこかで
くらやまこういち 看板のある秘密基地
あべふみこ 母の三回忌
松村惠子 便り
いいむらすず 祝 九十四才
水崎野里子 わたしはかぐや姫
清野裕子 発見
上手宰 詩作2025
佐相憲一 飛行
幸地千華 あさぼらけ
川上真央 水脈を伸ばして
野口やよい オレンジ
玄原冬子 空にかざして
坂田敬子 モデル
大西はな 必然する
神流里子 おりづる
春山房子 再会
関口隆雄 面会
狭間孝 未来予想
春街七草 異界
上山雪香 時の流れ
飯泉昌子 猫は助けてくれないのに
八田和代 新年をむかえて
呉屋比呂志 こんにちは赤ちゃん
古野兼 ひととき
秋乃夕陽 自由
秋野かよ子 悲鳴
妹背たかし 謝り
乾茂雄 はだかの王さま
小林信次 あきらめない
床嶋まちこ 幸せな人生には健康
池島洋 数学 ①
山﨑芳美 流浪の民
わたなべとしえ 私は私のままで生きたい
黒鉄太郎 もちろん用意はできている
上野崇之 ふるさとを遠く離れて
畑中暁来雄 反間諜防止法
三田麻里 最後の一日
大杉真 鳩よ
魚津かずこ 明日を待って
柴田三吉 詩は
おはなし
2025年平和のつどい パート46
「円を描く 弧の言葉」(下) 宮尾節子
ひうちいし
南浜伊作 坂杜宇 青井崇浩 おぎぜんた ごあんない「パレスチナ・カレンダー」
書評
南浜伊作 大杉真詩集『青い鳥になって』
見る・聞く・歩く
いいむらすず
私の推す一篇
穂積一平小詩集 ウクライナの花
詩のエレメント① 詩人は何でつくられるのか 魚津かずこ
詩作案内 わたしの好きな詩 ナナオ・サカキ 水崎野里子
詩作入門 難しいことを易しく(井上ひさし) 髙橋宗司
現代詩時評 流れない水 宇宿一成
詩 集 評 ことばの多様性に魅せられて あらきひかる
詩 誌 評 「韻律」に聴く 白石小瓶
グループ詩誌評 「次になにがおこるか」楽しみです 河合政信
自由のひろば
(選・渋谷卓男/中村明美/横山ゆみ)
藍眞澄/有原野分/大木武則/佐藤一秋/石川順一/
塩見綾子/新藤准子/井上進/日刈稔
詩人会議通信
●表紙/扉カット/表紙のことば 木村勝明
編集手帳
●詩作品
月と地球
北沢秋恵
今夜の月は地球を映す鏡のようだ
映る地球の像は目まぐるしく変わる
暗く燃える赤い球体
水をたたえ芽生えを促す青い惑星
色とりどりの生き物たちを
慈しむゆりかご
枝から落ちる寸前の病んだ果実
どれも幻影だろうか
今夜打ちのめされて月を見上げる
薄衣を半分纏った月は
手を伸ばせば届きそうなのに
指の先でスーと流れた
月は地球から少しずつ遠ざかっているという
今さらながら思わずにはいられない
百年でどの位離れるのだろう
今は飽きるほど眺めていよう
月は薄衣をスルリと脱いだ
冷たいとも温かいとも知らずに
焦がれているのは間違いなく地球の方だ
私も又瞼の裏に月を留めて夜を歩いた
けれどその間に
月を喰らう話が交わされていた
●編集手帳
☆20世紀は戦争の世紀でしたが、今世紀も四分の一を過ぎた現在、いまだ理不尽な争いを克服できず、世界は日々悲惨な出来事に直面しています。
☆平和を願い、希望を語る人びとの心にこそ、鋭い刺は深く刺さってきます。けれどむごい現実に負けず、私たちはその痛みに耐えつつ刺を包み込み、これを溶かしていくことが必要なのではないでしょうか。私たちの詩はつねに、可能性に満ちた表現であると信じています。
☆新年作品にもこうした作品が数多くあり、心強く思いました。また感銘深い詩とエッセイをお寄せいただいた会外の皆さまに心よりお礼申し上げます。
☆魚津かずこ「エミリ・ディキンスンの詩を読む」は前号で完結し、新たに詩の豊かさを探る「詩のエレメント(要素・成分)」の連載を開始しました。
☆’26年の表紙は造形作家の木村勝明さんにお願いしましたが、準備を終えた矢先に急逝されました。謹んでご冥福を祈らせていただきます。この間の事情は作者紹介欄に記しました。(柴田三吉)