2025年5月号 特集 子どもの詩の世界

2025年5月号 特集 子どもの詩の世界


特集 子どもの詩の世界

■子どもの詩 公募作品より
くうや くつしたのあな
おぐりはるき もこもこ おそら
高岡れん あふれる
でみずあおい へいわスイッチ
大林さくら たいよう
高岡わかば 海と海べ
おぎたかほ みかん
嶌野七琉 かいじゅうセナどん
大住花音 もうすぐ
遠藤紗千 太陽
丸山渚佐 ねこ
丸山佑海 おててえほん
海乃くらげ よるのふゆのしりとり
川﨑もえ トルコと和歌山の交流
髙開一叶 貝
出水芹和 風になりたい
安藤早希 家族
小林恩睿 記憶
砂田望緒 気持ち
Riku 難問

講評 スマホを手放して、空をみよう  武田いずみ
やわらかな魂たち――子どもたちの作品に触れて  都月次郎

エッセイ 耳を傾けてくれるひと  草野信子
詩集『原子雲の下より』を読む――児童詩を中心に  南浜伊作

■子どもを描く
田辺修 しなの子ども詩集
坂杜宇 こどもって
八田和代 ないしょばなし
山﨑芳美 詩心って?
春街七草 原石
斗沢テルオ ぼく 六とう
乾茂雄 カラス
秋乃夕陽 こども
三村あきら 汽車が泣く
坂田敬子 ある風景
妹背たかし 黒板を背に
わたなべとしえ 出逢った子らは今

新人賞 第59回詩人会議新人賞
選評
選考経過
詩部門 入選 穂積一平 星のつまづき
佳作 幸地千華 灰色
川上真央 ふるえる
竹井眞人 ことばが遅れる

一般詩作品
高橋宗司 シュールな部屋で
呉屋比呂志 廃村八丁天水村
小田凉子 瑞穂の国
いいむらすず 光る時間
田島廣子 矢田温泉
小林信次 好き
畑中暁来雄 ドストエフスキー『罪と罰』
いわじろう 波紋
床嶋まちこ 言葉に人柄が
たからきれい 傲慢と慢心
青木みつお バレンの記憶
高細玄一 人という存在
南浜伊作 先を急ぐ
田畑悦子 悼む

書評 宇宿一成 古道正夫詩集『S村点描』
黒鉄太郎 永冨衛詩集『あたたかい日射しのように』

見る・聞く・歩く 柴田三吉

ひうちいし 梅津弘子 やはぎかのう 青木みつお 永山絹枝 おぐりあつこ

あさぎとち小詩集  あさいそこ/朝のJ・S・バッハ/レスポンス不能/おしゅうじのせんせい/ななかまどの実

エミリ・ディキンスンの詩を読む④ 「悲しみはネズミ」  魚津かずこ

詩作案内 わたしの好きな詩 村上昭夫  永田豊

詩作入門 片羽登呂平を反芻する  三浦健治

現代詩時評 むかふむきのおっとせい 芝原靖
詩  集  評 言葉と現実との距離を考える 山野次朗
詩  誌  評 詩の空は青い 照井良平
グループ詩誌評 伝統のある五誌に圧倒される 河合政信

自由のひろば (選・渋谷卓男/中村明美/横山ゆみ)
有原野分/原順子/井上さだ子/佐藤一秋/大原ばった/おぐりあつこ/橋本敦士/佐藤一恵

私の推す一篇

詩人会議グループ一覧
詩人会議通信

●表紙/扉カット/表紙のことば 中島和弘
編集手帳


しなの子ども詩集  田辺修

子ども達に読んでほしくて
子ども達が書いた詩を
子ども達に向けて届けてきた
「しなの子ども詩集」
七十一集目の作品集が生まれて
七〇年になるという

かつて小学生だった頃
家に何冊かあった気もする
どんな詩が載っていたのか覚えなく
いつの間にか見えなくなって
僅かな記憶の中には
あの正方形だった表紙が浮かんでくる

きたはらいくシンガーソングライター
その歌声がCDから流れている
彼女は学生時代の友人の子女
子どもの詩を歌うちょっぴり甘く優しい声
詩が曲にのると羽が生えたように
しなのの大空を翔けていった

翔けてゆくその大空の彼方
爆音や銃声が響く戦禍のなか
そこにも教室があって
そこにもおおぜいの子ども達がいた
もとの明るい教室へ戻れたら
こまやかな心を詩に書いているだろう

我が子の作品が載った三十三集
書棚の隅にちょこりとあって
開けば今も光り輝いてくる
ふっくらほっこりの饅頭をちょこり
指先でふれたような詩
本人は今も覚えているだろうか


●編集手帳

☆今号は「子どもの詩」特集です。本誌とホームページ、ネット等で作品を公募したところ、幼児から中学生まで66篇の応募をいただきました。そこから20篇を掲載し、詩人会議会員による講評を付しました。本誌では初めての試みですが、年齢による言葉との関わり、世界との関わり、内面の変化が見えてきて、たいへん楽しい誌面となりました。
☆詩は自分を見つめ、自分の足あとを記すことのできる表現です。また言葉は人を育て、人は言葉を育てていきます。そこに生の豊かさが生まれ、それらは人と人を結ぶ道を切り開いてくれます。これを機に、詩を書き続ける子どもたちが増えることを願っています。
☆第59回詩人会議新人賞を発表。こちらも若い方からご高齢の方まで幅広い応募をいただきました。詩部門と評論部門、併せて291篇。詩部門から入選1名、佳作3名を選出しました。今年も素晴らしい成果を得て、詩の未来を明るく感じています。受賞の皆さん、おめでとうございます。(柴田三吉)

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