2025年12月号 [全国詩誌代表作品集]

[二〇二五年全国詩誌代表作品集]
【北海道・東北】
阿字 佐野のり子 風と木の声
宇 吉﨑光一 そうかもしれない
ever clear あさぎとち 三六六日目に
北の詩手紙 亜郎 母と暮らす・1
ササヤンカの村 佐々木洋一 アサガオがモノ申す
新詩脈 奥家淳子 葉内花
火窪 浜田とうへえ もう一人の私へ
よりみち+ 小川道子 「ピース」という名のバラに寄せて
【関東】
炎樹 白永一平 再生
雲の戸 山本萠 夕光
京浜詩派 まえだ豊 今では絶対言えない
現代詩しずく 相田淳 記おく
国鉄詩人 生駒孝子 真夜中の愉しみ
冊 中村明美 とおいうた
じゃがらんだ 木 亀田道昭
タルタ 柳岡加奈 キッチン
ちぎれ雲 忍城春宣 ちぎれ雲
花筐 井出馬子 亀さんよ
伏流水 うめだけんさく 波頭よ
澪 竹井みよ子 坂の上
【東京】
櫟 櫻井美鈴 モノたち
さざんか 永松美智子 靴べら
詩人の輪通信 植田文隆 この弾で
Shinado 森泉エリカ 無題
指名手配 入元恩 ふゆ
ポリフォニー 熊沢加代子 そしていつか
三宅島ミニ通信・百人庵便り
都月次郎 火山島の言葉たち68
【中部】
グループ耕 藍原ゆみ いまパレスチナで
ここから 中神英子 八月に降るもの
鹿 中久喜輝夫 ボネリア
詩食 岩井昭 のあそび
湿原 ハマダ・テツロー 少年の夏
詩笛 西村美衣 夏休み
ジャンクション 柴田三吉 まじる
樹 原田まさ子 安定剤
水脈 なたとしこ 柿の春
独標 喜多村貢 川柳連作「能登慟哭」
新潟詩人会議通信 新田純一 消滅
狼煙 水衣糸 トワイライトⅡ
ぱぴるす 椎野満代 さらりと生きられないさかな
はりみち 山﨑清子 雨の日
風紋 坂田実 老いの日暮れに
沃野 気駕まり ある二文字
【近畿】
青い風 足立敏郎 文字
苺余果 藤の樹々 病棟にて春(一五文字連句)
軸 玉田ミタテ わたしの毎日
詩のもり 古野兼 長詩 同調圧力(一)
朱雀 西田純 木の声 水の声
鶺鴒 飯田直子 時の流れ
多島海 彼末れい子 春の菜箸
トンビ 真田かずこ ある夕べ
プラタナス 神野忠弘 お元気ですか
鉾 刀根蛍之介 傘寿の日に
ぽとり 武西良和 目の仕事
三重詩人 深谷孝夫 生きるためには
モデラート 岡崎葉 ラクダの足
RIVIE’RE 石村勇二 かわいそうなマラート
【中国・四国】
黄薔薇 立野淳子 探しもの
兆 西村雅人 パレスチナ二題
ポエム・リーフ 坂本遊 名を呼ぶ
道標 大塚政樹 これからのこと
ほのお 中奥英子 少女よ
【九州・沖縄】
アビラ 後藤光治 エリーゼのために
御貴落 河野俊一 アメリカ
詩創 桐木平十詩子 上弦の月
筑紫野 和田平司 鯛焼き
ながさき詩人会議 尾田貢 若布を採る
縄 服部昭代 かごめの歌
野火 杉本一男 三池炭鉱三川坑大災害六〇年に
複眼 平いく子 クジラの赤ちゃん
詩人会議グループの近況報告
2025年平和のつどい パート46
おはなし 「円を描く 弧の言葉」(上) 宮尾節子
報告 平和のつどい 中村明美 アルバム
小特集 今年こころに残ったことば
いいむらすず うえじょう晶 北島理恵子 木村孝夫 熊井三郎
坂田トヨ子 玄原冬子 渋谷卓男 瀬野とし 武田いずみ
都月次郎 中村明美 中村純 野口やよい 古道正夫
松田研之 南浜伊作 山川茂
報告 鄭周河写真展「パラ―ダイス」 石川逸子
エッセイ すぎゆくとき うつりゆくとき――表紙作品を終えて 中島和弘
一般詩作品
山田よう 川の人
横田重明 とぶ
斗沢テルオ 僕の戦争体験
三村あきら 逃亡者
髙橋宗司 慈光山金乗院放浪
大木武則 クレヨン
いだ・むつつぎ 星の軍神たちよ母の大粒の涙を見たか
田畑悦子 木
春街七草 数奇な冒険
尾田貢 タウランガアー
わたなべとしえ 隣人はいま何処に
永山絹枝 あなたは いま…
関口隆雄 犯人は 誰?
妹背たかし 足
秋野かよ子 ことばの不思議
おおむらたかじ 廃屋二軒
呉屋比呂志 十四歳の所業
救愛 恋しくさせて
いいむらすず 赤飯
秋乃夕陽 孤高
奈木丈小詩集 姿勢/集う人たち/王さまの家/生活/平行線
ひうちいし 市成義弘 河合恒生 長沢美抄子 斎藤貢 清野裕子 遠藤智与子
見る・聞く・歩く 魚津かずこ
新会友作品 兼清ひろし
エミリ・ディキンスンの詩を読む⑪ 詩人のランプ 魚津かずこ
詩作案内 わたしの好きな詩 谷川俊太郎 犬伏久美子
私の推す一篇
詩作入門 詩作は感動で個性だ 黒鉄太郎
現代詩時評 朝ドラ「あんぱん」を見ながら 宇宿一成
詩 集 評 掴みとった言葉 そして詩 あらきひかる
詩 誌 評 日常という名の奇跡 白石小瓶
グループ詩誌評 生きがいの〝場〟 青木春菜
二〇二五年自由のひろば最優秀作品・優秀作品
【最優秀作品】
三明十種 無職虜情
【優秀作品】
有原野分 雨上がりのベランダにて
大原加津緒 一丁目一番地
藍眞澄 数字
(選評 渋谷卓男・中村明美・横山ゆみ)
詩人会議グループ一覧
寄贈詩誌・詩書
詩人会議通信
●表紙/扉カット/表紙のことば 中島和弘
編集手帳
●一般詩作品
川の人 山田よう
初老の先生は、いつも椅子に腰かけて、講義した
ヨーロッパの川を
アジアの川を
アフリカの川を
遠くを見ながら
歌のように語った
ささくれだったアマゾンの流れ
夕陽を飲み込むミシシッピー
古城を映して流れるドナウ
怠け者で悩みばかり多い女子学生だったわたしは
じっと聞き入った
先生の声の抑揚と リズムと しばしばおとずれる間(ま)と
細い線で黒板に描かれる 大河の流れを見つめると
わたしは
地球の果てまで 飛んで行けた
十年後
そのN先生を都心の地下鉄ホームで見かけた
「先生の川のお話、聴いた者です」かすれた声で言うと
先生は うれしそうに笑った
狭い地下の空間に、川の大好きな人を見た不思議
無機質な地下道には
一瞬 さらさらと透明な川ができた
●編集手帳
☆本年も「全国詩誌代表作品」に70誌の参加をいただきました。近年、さまざまな事情により詩誌の減少が進んでいますが、掲載した同人誌、グループ誌には、詩の息吹と表現へのたしかな思いが溢れていて励まされます。
☆10月5日、東京大塚・ラパスホールで開催した「詩人会議 平和のつどい」は45名の参加を得て、熱気溢れる会となりました。講演をしていただいた宮尾節子さんの自由闊達、かつユーモアに満ちたお話と、そこから生み出される鋭い批評に会場からは共感の声が上がりました。会員の朗読と併せて平和を築いていく思いを共有した一日でした。講演録を今号と新年合併号に分けて掲載します。
☆自民党総裁にタカ派の高市早苗氏が選出。自公連立は崩れましたが、維新との野合で高市氏が首相に指名されました。今後は軍拡と改憲への動きが一層進むでしょう。さらに格差の拡大、多様性社会の後退も危惧されます。これらの動きを阻み、私たちは平和の砦を強固にしていかなければならないと。(柴田三吉)