2022年1月号 特集 新春作品
●もくじ
新春作品特集
谷川俊太郎 庭木
佐々木洋一 繋がり
草野信子 終えることが
洲史 たどりつけない場所
佐々木薫 今日の誇らしゃ
狭間孝 一番はじめ
齋藤貢 あしうらの汚れ
柴田三吉 落日の前に
中上哲夫 寓話
上手宰 二足
安水稔和 仮名
野口やよい どんぐり
おおむらたかじ ダルメ・オレたちの春
坂田トヨ子 ふるさとは
清野裕子 こんどの春には
目次ゆきこ 日々の中で
青木はるみ 老年
嶋岡晨 新しい凧
八木忠栄 冬の裸馬
渋谷卓男 はじまり
玉川侑香 無言劇のように
滝本正雄 「核」を見つめて…
網谷厚子 桜革命
うえじょう晶 レディ・サピエンス
葵生川玲 はつゆめ
青木みつお 五能線
芝憲子 復帰五〇年
佐川亜紀 んーぶに復帰
荒川洋治 物理
芝原靖 せかいがはじまる
小田切敬子 うれしい カレンダー
甲田四郎 ラジオ体操
中原道夫 月
檀允心実 君がくれたまるい月
有馬敲 奈良漬け
松田研之 小詩片
石川逸子 電車でのひそかな演説
佐相憲一 窓
みもとけいこ 万年
奥田史郎 みんな借り物
杉谷昭人 年の暮れに
くらやまこういち 晩秋スケッチ
秋亜綺羅 詩
中村明美 鏡映描写
宇宿一成 春になれば
瀬野とし ハート形の氷
木村孝夫 ばかこいで
北村真 水は
写真 狭間孝
年頭のことば
あきらめず、考え、訴え、行動すること 岡本厚
再訪したい国コスタリカ 桜井国俊
トラを肴にどこまで笑えるか 伊奈かっぺい
ハンザキ精神 緒方靖夫
岸田内閣総理大臣のお年玉 金子勝
インタビュー
小野十三郎さんに聞く 青木はるみ
書評
宇宿一成
小田切敬子詩集『深い呼吸』
松尾節子詩文集『旅のなかで』
佐々木洋一
大塚史朗詩集『樹木について』
ひうちいし
芝憲子 坂井勝 いいむらすず 網谷厚子 緒方靖夫 上山雪香
横田重明小詩集
日記/宣告/鳥/新年
私の推す一篇 2021年12月号
地下室の窓 剥奪された想像力――日本の総選挙を前に 徐京植
詩作案内 わたしの好きな詩 柴田トヨ 小泉克弥
詩作入門 イメージの残像力 彼末れい子
現代詩時評
おらだヤマトの土人でがす 立原直人
詩 集 評
自問自答し言葉を探す 魚津かずこ
詩 誌 評
立ち止まらせる詩であって欲しい 後藤光治
グループ詩誌評
「コロナ前・コロナ後」 河合政信
自由のひろば
(選・おおむらたかじ/草野信子/都月次郎)
村口宜史/三村あきら/ななかまど/佐藤一恵/橋本敦士/ひらたひろお/坂田敬子/髙橋宗司/落合郁夫
「本当に良い図書館とは」講演会
『平和万葉集(巻五)―憲法とコロナの時代―』作品募集について
詩人会議グループ一覧
詩人会議通信
●表紙/扉カット/表紙のことば 宮本能成
編集手帳
新基地建設反対名護共同センターニュース
●詩作品
繋がり 佐々木洋一
わたしたちは隔たりがあって繋がっているのかも知れない
塀の向こうに
養護学校へ通うダウン症の子どもと母親がやって来る
ここから通学バスに乗るためだ
栗の実が落ちる頃になると
キャッキャッ言いながら子どもは栗の実を拾う
わたしは塀のこちら側にいて
その声を聞くこともなく聞いている
日常の始まりが少し豊かに明けるのは
そんな声を聞いた日だ
栗の実が落ちていない時は
こちら側から二つ三つ
向こう側に置いておく
やって来た やって来た
駄々をこねていても
学校に行きたくなくても
栗の実を二つ三つ拾うと納得するようだ
わたしは元気をゆり起こし
朝の光りのまぶしさに堪える
通学バスがやって来て
子どもを送り出し母親は立ち去った
その後のほんの一時
やさしい呼気のひびき
わたしたちは隔たりがあったまま繋がっているのかも知れない
●編集手帳
☆二〇二二年を、元気よく生きよう、と自らにいいきかせています。昨年、替わった内閣も、大資本や与党や米国の利益に従い、私たちの個のいのちを軽視する政策を押しつけてくるでしょう。岡本厚氏の言葉のように〝困難であっても考え続け〟〝粘り強く、考え訴え行動していこう〟と思います。
☆今年も会外のみなさまのご支援をいただきますようお願いいたします。
☆「小野十三郎さんに聞く」は、小野さんが一九九六年に亡くなられているので意外に思われるかもしれません。
このインタビューは、詩人会議特別会友の青木はるみさんが一九八二年のNHKラジオ第二放送でなされたもので、まだ活字化されていないものです。青木さんから〝この対話は長く私の宝物にしていまして、あまり知られていないので〟というお手紙をいただき、掲載させていただきました。現代詩に大きな影響を与えた小野さんが、心をひらいて語っていて、小野十三郎の生と作品、いまの詩の課題もみえてきます。(秋村宏)