2024年6月号 特集 まきらん(負けない)沖縄

2024年6月号 特集 まきらん(負けない)沖縄


特集 まきらん(負けない)沖縄

芝憲子 沖縄こそが健康
うえじょう晶 抗う背中に
網谷厚子 ワイドー日本
織つかさ スパイラル
小林圭朋 ちゃーすが
永田豊 島へ
伊藤眞司 標的
熊井三郎 鬼銭
春街七草 私は知らなすぎた
呉屋比呂志 黒潮の海を越えて
坂田トヨ子 海がきれいだねえ
三村あきら 本土から叫ぶ
菅原健三郎 「負けてーならん」
田辺修 故郷
坂杜宇 ヨンニッパ
小田凉子 月桃の花
秋乃夕陽 思いを馳せる
いいむらすず 朝よ 光よ
八重洋一郎 虚妄の街
与那覇けい子 沖縄の空

エッセイ
「童や神の子」を胸に――「いのち」をつないで平和創造  藤原健
普通に沖縄にくらすということ  新城和博

第52回壺井繁治賞
田中茂二郎美穂子詩画集詩集『世界は夜明けを待っている』
受賞詩集抄
受賞のことば
選評
選考経過

もう一本の脚をうしなわないこと――詩集『世界は夜明けを待っている』を読んで  北村真一般詩作品

斗沢テルオ 吾ァ青森・南部の国際人
永山絹枝 能登よ 能登よ
尾田貢 春の訪れ
鈴木義夫 ゴキブリ
春山房子 帰り道
西明寺多賀子 あんまんが恋しい
清水マサ 勉学
いわじろう 必ず来るのです よ
小田切敬子 つるみがわ

 

書評 宇宿一成 永山絹枝『世界のどこかで(上)』

短詩・交流 南浜伊作

ひうちいし 八田和代 池田久雄 伊藤眞司 河野俊一 中島公子 清水マサ 新間芳子 いだ・むつつぎ

見る・聞く・歩く 芝憲子 南浜伊作

私の推す一篇

飯泉昌子小詩集  パリは今/ハーフマン/願い/春に/蝉

詩作案内 わたしの好きな詩 鄭喜成  奈木丈

詩作入門 詩は心を映す鏡  あべふみこ

現代詩時評 森を蘇らせる根の思想 北村真
詩  集  評 《暴れ者》の仮面の下に隠し持っている繊細で優しい《知性》 勝嶋啓太
詩  誌  評 失われたものたちの詩 野口やよい
グループ詩誌評 味わい深い個々の人生 青木春菜

自由のひろば 選・中村明美/南浜伊作/坂田トヨ子
坂田敬子/ハマダ・テツロウー/佐藤一恵/大木武則/加美瀬耀司/石木充子/芦田晋作

寄贈詩誌詩書
詩人会議通信
●表紙/扉カット/表紙のことば 山本明良
編集手帳
辺野古ニュース



●詩作品

ワイドー日本
網谷厚子

遠浅の 鏡のように空を映した海に 無数の人柱が
等間隔で立っている こちらを向いて後ろ手に縛ら
れ 足も括り付けられた褌だけの痩せこけた人々
十字架に手足を釘で打ち込まれた イエスさながら
見えない血を夥しく流している 悪魔払いの非情さ
で 信じるものを一つにして 平穏な日々を取り戻
すための 生贄 日本人が日本人を処刑する 簀の
子に巻かれて 海に投げ込まれ 波に流された人々
は 魚類に啄まれ あとかたもなく消えていく か
つて生きたこと 愛したこと 信じたこと すべて
流されて 藩主もまた 胸に刻まれたクルスに そ
っと手を置き 共に殉死したかもしれない 「藩主
はキリシタンでございます」 密告した家来を 打
ち首にした 棄教など何度でもできる 心の中まで
誰も浸食することはできない どんな恐ろしい権力
も巨大な財力も 試されているのは意志の強さだ
藩主も小さな存在にすぎない マリア像を踏む人々
も ただ意志の強さだけで 静かで 氷のように冷
たく硬い抵抗をする あれから四百年近く経ち 沖
縄の辺野古の 澄みきった海に何万という杭が打ち
込まれる あれはなんのための生贄か まだ回収さ
れない いつ回収されるかもわからない戦争の怨念
も眠る赤土が どかどか運び込まれ 尊い遺跡や文
化財が 泥深く沈んでいく 辺野古の杭は人柱 わ
たしたちの 血を流して納めた宝物が かき集めら
れ つぎこまれ 捨てられていく 百年先も見てい
ない 百年先まで責任をとれない 今だけの 美し
い言葉に誑かされた人々の いけいけどんどん は
止むことがない 何度も過ちを繰り返してきた日本
人が 日本人を蔑み 日本人を屈服させ むごたら
しく 祖先への 自然への畏敬を汚していく 目を
背けたくなる行為が また 刻まれていく 神を蘇
らせよ 沖縄は日本の生贄ではない ワイドー日本


●編集手帳

☆「まきらん(負けない)沖縄」。負けないことが抵抗のしるし。民意を踏みにじって戦争準備の基地を拡大し続ける政府の暴力に立ち向かい、沖縄の人びとが貫いてきた姿勢です。これは本土に住む私たちにも共通することでしょう。政治の暴力はどこで暮らしていても「私ごと」で、同じ思いでたたかいっていかなければならない問題です。
☆昨年に続き、琉球新報・毎日新聞客員編集委員の藤原健氏をはじめ、会外の方々から貴重なエッセイと作品をいただきました。この国の平和・基地問題の原点として沖縄を見つめ、さらに学びを深めていきたいと思っています。
☆「第五十二回壷井繁治賞」を発表。受賞の田中茂二郎さん、おめでとうございます。かつて日本が行った戦争と、いまも世界で止まない戦争についての理知深い表現、それを育んだ、若き日の姿を描いた作品に打たれます。今年度の特徴は詩人会議の会員に優れた詩集が多かったことです。私たちの運動が育んできた豊かな成果でしょう。(柴田三吉)

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