2025年7月号 特集 短詩――143人集

2025年7月号 特集 短詩――143人集


特集 短詩――143人集

藍原ゆみ いのちの姿
青木みつお 無言館
赤木比佐江 小鳥の好きな人
秋野かよ子 性(なかま)
秋乃夕陽 永遠にさようなら
あさぎとち 信号
あべふみこ トマトの苗
あらきひかる 買いもの
飯泉昌子 もう中学生とライントーク
いいむらすず 小さくて大きいこと
池島洋 短詩
池田久雄 断層
石関みち子 夏ぼうし
石田百夏 日本のおたから
伊藤眞司 金星と三日月
乾茂雄 詩
乾葉子 猫の手も借りたい
妹背たかし カラスよカラス
いわじろう 百パーセント
うえじょう晶 南帰行
植田文隆 こんなにも
上野崇之 うましめんかな
魚津かずこ 古い文明
宇宿一成 魂
梅津弘子 バイトで育つ
遠藤智与子 あな
大木武則 ひばりよ
大嶋和子 美しい人
大杉真 涙
大西はな  確かに、
おおむらたかじ となりの山田さん
奥田史郎 風呂場で
小田凉子 貼紙
小田切敬子 炎
勝嶋啓太 こんな時に呑気に詩なんて書いていられるか!
加藤三朗 量子
金屋敷文代 今 此処に
上岡ひとみ その道を
上手宰 疲れた鞄を捨てる儀
神谷直樹 父の遺訓
上山雪香 夕暮れ時
彼末れい子 六甲山系 保久良山
河合政信 夜話
かわかみよしこ 迷う
神流里子 白寿の母
北沢秋恵 四月七日
北島理恵子 うぶごえ
北村真 井戸
工藤美春 五月の連休
熊井三郎 レストラン・フューチャー
くらやまこういち まんまと
黒鉄太郎 赤沢亮正大臣の格下宣言
小泉克弥 風の色
河野俊一 世界とは
古野兼 引き出す力
小林その 無花果
呉屋比呂志 夏又、夏を過ぎたれば
サイキシオリ 光
斎藤彰吾 言葉
坂田トヨ子 グラデーション
佐川亜紀 ふっくら
桜陽 姉の手
櫻井美鈴 いのち
佐相憲一 シャボン玉
佐藤一秋 告白
佐藤和英 別れ
佐藤誠二 常任理事国って なんだ
玄原冬子 桜便り
柴田三吉 飛翔
芝原靖  ふるさと
洲史 いつもの街を歩く
新間芳子 朽ちた葉
菅原健三郎 鍬の先のいのち
杉本一男 忘却の果て
清野裕子 誰もいない席
関口隆雄 頭痛
瀬野とし 虚構
平等稲雄 「正正堂堂」のホロコースト
平由美子 お米
高嶋英夫 小鳥は歌う
高田真 天使降臨
高橋宗司 ポインドゲッターは速攻
高橋英男 誕生日に
高細玄一 ガザ
竹井みよ子 太陽の分身
武田いずみ バトン
田島廣子 位置
たなかすみえ 雨
田中茂二郎 二人のエンジニア
田辺修 月百態
田畑悦子 しだれ柳
塚永行 あぁちょと待って
都月次郎 匂う猫
照井良平 サンクチュアリ・バンド
床嶋まちこ 偉い人は
斗沢テルオ 漱石に倣う?
永井秀次郎 大学生
永田豊 願う
永高純子 失われし生命
永冨衛 見つめる
永松美智子 ブランコ
中村明美 しらさぎ
中村純 詩人の仕事
永山絹枝 祈り
なぎら夕凪 春になると
奈良玉枝 面会
野口やよい イカロスの子
狭間孝 七十一歳になって
橋本敦士 いとし
畑中暁来雄 ノーベル平和賞
八田和代 誰のしわざのかくらんか
浜本はつえ 花をふらせて
原圭治 五月の風は
原田亘子 ノッポさん
春街七草 抵抗
春山房子 雨
坂杜宇 一瞬
平林健次 仲よし同級生の父たち
府川きよし 主夫業も三年目
古久保和美 一瞬の間
古道正夫 正午前
平和ねんじ 土をつくる
松田研之 天の川
松村惠子 感謝
水衣糸 シラネアオイ
水崎野里子 花見
三田麻里 好きってどういうこと
光谷公男 幸せを
南地心爽 風
南浜伊作 梟の声
三村あきら 落花を慈しむ
森智広 足音
やはぎかのう 日々の祈り
山田みとり 現場から 二〇二五 初夏
山本萠  籐椅子に
横田重明 銀河系宇宙
横山ゆみ 予備校の机の定理(学歴社会の法則)
わたなべとしえ ひたすら上へ
和田平司 サボテン
後藤光治 バケツの中の銀河
岡田忠昭 梅の若葉のアブラ虫
中正勇 いくさへ
陽灘洋 堆肥を作る

小特集 動物たちとの共生・共存
狐と狼――暮らしと獣  渋谷卓男
それはあたりまえの仕草のように――我が唯一の望み  北島理恵子
暮らしの相棒として  高田真
兎を飼う  尾田貢
馬をめぐる人々  柴田修平

一般詩作品
あらきひかる 猫の生態
三浦千賀子 ハクセキレイ
呉屋比呂志 狸峠
田島廣子 猫と暮らす
伊藤眞司 人間に生まれて
高嶋英夫 つばめが来てくれた日に
小田凉子 つまぐろひょうもんちょう
秋乃夕陽 青虫
清水マサ 鴉
古野兼 ヘクソカズラ
横田重明 新幹線・新神戸駅下りホーム
秋野かよ子 愛しい君へ
八田和代 あの人は 今
永山絹枝 お囃子が聞こえる
永冨衛 解く
芝原靖 ほんとうのところ
浦西登 樹 70  佐藤誠二 時流
杉本一男 昇坑へ
いわじろう 光の脚
妹背たかし 石破さん
たからきれい 争ってる場合じゃない(序)

書評
佐々木洋一 永田豊詩集『朝焼け』
宇宿一成 柴田三吉詩集『ひとつの夜とひとつの朝』
都月次郎 三田麻里詩集『海はどこでも美しい』

 

私の推す一篇

ひうちいし 呉屋比呂志 あらきひかる 石田百夏 石川淳子 秋野かよ子 湯浅きいち

松村惠子小詩集  よういじゃない/ばかたれが/弟/一件落着

エミリ・ディキンスンの詩を読む⑥ 〈風、海〉 詩人の自然認識  魚津かずこ

詩作案内 わたしの好きな詩 工藤直子  柳瀬和美

詩作入門 国会の院内集会は怒りとなって  いいむらすず

現代詩時評 SNSに咲くもの 芝原靖
詩  集  評 文字・言葉が時間と距離を超える 山野次朗
詩  誌  評 詩は感動を連れてくる! 照井良平
グループ詩誌評 年齢の節目に 青木春菜

自由のひろば (選・横山ゆみ/渋谷卓男/中村明美)
三明十種/サイキシオリ/藍眞澄/清水ひさし/有原野分
/佐藤一秋/大木武則/大今滝路/山根信良/新見かずこ

寄贈詩誌詩書
詩人会議通信
●表紙/扉カット/表紙のことば 中島和弘
編集手帳


●詩作品

昇坑へ――三池炭鉱三川坑大災害から60年(4)
杉本一男

気が焦る
午後六時をとうに過ぎた
一刻も早く 急がなければ
足元を確かめながら 坑口をめざす

第一斜坑で 何が起こったのか
「炭塵爆発だ」と はっきり聞いた
第二斜坑を下りてくるとき
焦げた臭いがした 爆風の跡か
目抜付近の倒枠や落石が多かった
地点は五目抜か六目抜辺りか

なぜだ なぜ炭塵爆発か
沖正信は 混乱する頭で考える
明治一三年に 高島炭鉱で
大正九年に 夕張炭鉱で
昭和になって炭塵爆発があったか
ガス爆発や坑内火災があった
炭塵爆発とは 驚きだ
清掃と散水 三割の水分で爆発はしない
岩粉と併用すれば 完璧なはずだ
火元は何だ 何で火が出た

救護隊はまだ来ない 遅い
どうした 火災や跡ガスの懸念か
一番方 常一番方 二番方
千人を超す 男たちが坑道にいる
地を這い もがき 叫ぶ 男たち

救護隊は 生者と死者の分別だけか
動ける坑内員を すべて救援隊で出せ

ようやく 二目抜辺りか
数十の 帽灯の光りが交錯
しだいに近づいてくる


●編集手帳

☆短詩特集、今回は会員・会友のほか、読者と会外の詩人へも参加を呼びかけ、昨年を超える143篇となりました。とりわけ日頃、詩は読むけれど書かない、という読者の方々にとっては、胸の内の思いを言葉にする楽しさを味わえたのではないでしょうか。小さな詩の、大きな世界をお楽しみください。
☆小特集は「動物たちとの共生・共存」としました。私たち人間はいにしえより自然界の動物や暮らしに溶け込んだ動物とともに生き、共存してきました。しかし近年はそのバランス、境界も大きく崩れ、互いの存在を尊重する棲み分けが難しくなっています。いま人と動物の関係を、人間本位ではない視点で考えていくことが大切でしょう。
☆6月8日・9日、静岡県奥浜名で全国運営委員会を開催します。両日ともオープン参加とし、グループの交流、会員間の親交を深め、詩運動の充実、発展の場にしたいと思います。また壺井賞、新人賞の贈呈式、壺井賞の木村孝夫さんによる受賞講演を行います。(柴田三吉)

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