2022年4月号 特集 桜

2022年4月号 特集 桜


特集 桜
瀬野とし 冬桜
宇宿一成 一輪
佐々木洋一 ひぃらぁあん
たなかすみえ さくらマンダラ
野口やよい ジャカランダ
春街七草 川崎の沖縄桜
いしだひでこ 十月桜の夕暮れ
赤木比佐江 裏庭の桜
浜本はつえ 少女たち
妹背たかし 山桜
南浜伊作 校庭の桜並木
高嶋英夫 桜、桜、桜
佐藤和英 花筏
飯泉昌子 今 誰かに
坂田トヨ子 和子さんの桜
菅原健三郎 すき込む
植田文隆 きっと咲くはず
あさぎとち おなじよに
大道和夫 季節
細田貴大 探しに行く
松尾節子 桜
奥村和子 李王妃方子 南河内で歌う
志田昌教 宮原小学校の桜
宍戸ひろゆき 守るぞぼくらのさくらの樹
狭間孝 海峡の桜
滝本正雄 時代から観る桜とは…
田辺修 桜太朗
うえじょう晶 桜雨
斗沢テルオ 桜とのソーシャルディスタンス
長谷川節子 桜は咲いても
石関みち子 桜に思う
伊藤眞司 桜
木村孝夫 夜ノ森駅
白永一平 花おいびとの目に桜
田島廣子 桜
救愛 くちびる
呉屋比呂志 黒田の百年桜
上野崇之 延世大学の満開の桜の下で
古野兼 うかれ浮き立ち 心覚え
宮本勝夫 山桜
水衣糸 桜坂
白根厚子 寒立馬
佐伯徹夫 さきはひ
白石小瓶 伯父を背負う
いいむらすず 春の景色
柴田三吉 つぼみ

エッセイ
ササベ先生の山桜  彼末れい子
「櫻の樹の下には」を巡って  後藤光治
むかし見た桜  上手宰
桜の警告――島々を再び戦場にするな  桜井国俊

おはなし
核兵器の終わりの始まり ――核兵器禁止条約発効後の世界と日本  川崎哲

エッセイ
松谷彊の思い出  清水マサ

嘲流
青木みつお プラゴ語
板倉弘実 その時、神風が吹いて

詩人会議グループ詩誌作品集
豊島晃司 分断を許さない
桜井くに子 拝啓―伊藤久男様
河内美子 残存
岩橋健治 夜店
神野忠弘 あさがお
山内由美子 大根切り干し
吉村悟一 つれづれの日々
比留川美津子 ドクダミ考
田畑悦子 あれから
川田悦子 古い箪笥

ひうちいし
長沢美抄子 いいむらすず 青井耿子 上山雪香 佐藤誠二

佐藤誠二小詩集
大人だって夜泣きすることがある/俺って ちっちぇ人間なのだろうか/吾が人生日々好日と嘯くか 74

見る・聞く・歩く 田辺修

私の推す一篇 2022年3月号

詩作案内 わたしの好きな詩 長崎浩  豊田智慧子

詩作入門 書きたいことをどんどん  芝憲子

現代詩時評 「生きにくさ」の構造 立原直人
詩  集  評 暮れなずむ夕陽にも背中を押される感性 くらやまこういち
詩  誌  評 木々の声・人の言葉 高田真
グループ詩誌評 71号、94号 いずれも伝統の二誌 河合政信

自由のひろば
(選・おおむらたかじ/草野信子/都月次郎)
村田多惠子/村口宜史/御供文範/橋本敦士/有原悠二/三村あきら/西明寺多賀子/坂田敬子

寄贈詩書
詩人会議通信
読者会報告 2月号 佐藤和英 3月号 芝原靖

●表紙/扉カット/表紙のことば 宮本能成
編集手帳


●詩作品

冬桜  瀬野とし

大空に三角凧が舞っている
大きな公園のひろば
隅の一角に 細めの木が七、八本
枝々から伸びた小枝の先に
ポツポツと 小さな八重の白い花
可憐な冬桜

木の前で
幼い男の子が 縄跳びをはじめた
「イチ、 ニイ、 サン、 …」
若い父と母が 声をそろえて数える
「ロク、 ナナ、 あー」
縄を足にひっかけて…

「とべた とべた じょうずにとべた」
母は 注(つ)ぎ分けた温かいコップを手渡し
「きれいねぇ」
三人で冬桜を見上げる

真っ青な空にちりばめた
小さな八重の白い花々
寒い風が来て 小枝ごと
花は揺れたが
散りはしなかった

この子は 大きくなった日に
懐かしく思い出すだろう
冬桜のお花見を

そのとき
冬桜は 伐られることなく
残っているだろうか
公園にあるのは
見事に散ることを称(たた)えられる
春爛漫の桜ばかり ではなく


●編集手帳
☆今月の特集は「桜」です。多くの人が咲くのを待ち、散るのを惜しむ。それぞれの〝花見〟が、暮らしのなかで描かれています。
詩のなかには戦争と関連する作品がいくつもありますが、日本の国花とされる桜の、散る、美しさ、という死の思考を国が喧伝したことを表しています。
桜井国俊さんが、気候温暖化と共に〝島々をふたたび戦場にするな〟と語られていますが、それは私たちの課題です。
☆川崎哲さんのおはなし(上・下)は、
’21年3月の〝ビキニデーin高知の全体集会〟でなされたものです。核兵器が作られてから76年になり、核兵器禁止条約にも加盟していないわが国で〝人間が作ったものだから、核兵器は100%なくすことができる〟という確信が湧いてきます。
☆明治神宮の森の伐採計画を、東京都の都市計画審議会が承認。樹齢百年の樹を千本も伐り、巨大なコンクリートビルをつくる。営利を得ようとするむきだしの欲望がみえてきます。自然を破壊する思考こそ伐採されるべきです。(秋村宏)

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