2022年2月号 特集 海外詩

2022年2月号 特集 海外詩

●目次

特集 海外詩
 パレスチナ  アパルトヘイトは終わっていない――パレスチナと交差する世界  長沢美抄子
韓  国   日韓の平和を祈る詩人イ・ヒャンア  佐川亜紀
アメリカ   デモクラシー・自由・平等・友愛――『ラングストン・ヒューズ英日詩選集』と私  水崎野 里子
中  国   冠状疫情とのたたかいと「多いが、少ない」という現実と  石子順
交  流   英訳詩が銅版画、国際交流展に  芝憲子

新春作品特集
 勝嶋啓太 殺意と陽光
大釜正明 暗闇は希望
水衣糸 カイといっしょ
高田真 納戸の贈り物
光谷公男 神在月
三浦千賀子 問われる
妹背たかし 少年とカボチャ
あべふみこ クジャクサボテン
岩堀純子 花の方へ
いいむらすず 赤い実をあなたに
斗沢テルオ あいつの礫
武田いずみ めだか
田島廣子 一人遊び
浜本はつえ ベランダの狸
魚津かずこ コロナ明けたら…
草倉哲夫 教科書のソクラテス
後藤光治 初日
田辺修 星座早見盤
安仁屋眞昭 二〇二二年は何という年か
南浜伊作 馬毛島新基地建設は許さない
吉村悟一 ぼくは国会議員バッチ
山野次朗 雨と風
清水マサ 白鳥
坂杜宇 お正月
大西はな 沖に出て魚を捕る
田上悦子 夜の林檎
熊井三郎 あいさつ考
いわじろう 番人
玄原冬子 海峡
上岡ひとみ 時を越えて
白根厚子 パリ裏通り
春山房子 耐えて 春
山内宥厳 木漏れ日
加山みどり 晦日
前田新 トリクルダウン
山口賢 晩年
野川ありき 胸のうち
佐藤誠二 民主主義を熱く語り明かそうぜ
あさぎとち 夏のさかりまでに
彼末れい子 鳴き声
北島理恵子 三十日
呉屋比呂志 観光用水車
都月次郎 忘れてもいいか
鈴木義夫 お賽銭
照井良平 晩秋の杖
いだ・むつつぎ 暁の芸術・その美しさを見つめて

エッセイ いまこそ詩人会議の出番  三浦健治

詩人会議グループ誌作品集
桐木平十詩子 「月の光」を弾く
瀬戸美都子 黒塗りの問題集
渡部光乃 エニシダの逆襲
林ひろ 私のひろしま(被爆七十五年)本川町界隈
増成順子 とと道
井本正彦 咲く星
阪南太郎 小さな学園にて
山川茂 笑いについて

小論 今、我々に問われる『善という倫理意識』  おぎぜんた

ひうちいし
中上哲夫 河野俊一 山口賢 神崎英一 南浜伊作 青井耿子 山田たか子 宮本るり子

志田昌教小詩集  スタンダードナンバー訳作詞集

見る・聞く・歩く 狭間孝

私の推す一篇 2022年1月号

詩作案内 わたしの好きな詩 西脇順三郎  河合恒生

詩作入門 記憶がとどけてくれた言葉  目次ゆきこ

現代詩時評 ミャンマーからの「投壜通信」 上手宰

詩  集  評 読者にも自分にも媚びない強さ くらやまこういち

詩  誌  評 心の深呼吸――優しさを掌にのせて 高田真

グループ詩誌評 誌面造りに工夫が見える 河合政信

自由のひろば (選・草野信子/都月次郎/おおむらたかじ)
木崎善夫/大野美波/落合郁夫/橋本敦士/御供文範/佐藤一恵/髙橋宗司/井上韶鳳

詩人会議通信
●表紙/扉カット/表紙のことば 宮本能成
編集手帳
小熊秀雄展へお運びください 坂井勝


●詩作品

殺意と陽光  勝嶋啓太

仕事ない
金ない
友達いない
彼女いない
虫歯が痛い 鎮痛剤飲む
親が口うるさくて鬱陶しい 無視する
やる事ない
散歩に出る
犬の糞 踏んづける
道端でコケる 女子高生に笑われる
三丁目の来々軒に行く
ラーメンまずい
ぼんやり 店内のテレビを見ていたら
電車の車内で 男が
無差別にナイフで人を刺した挙げ句
放火までした というニュースをやっている
男は 仕事や人間関係がうまくいかなくて
ヤケになって 死のうと思ったけど
自分じゃ死ねないから
人を殺して 死刑になろうと思った
などと言っているらしい
俺も いっちょドデカイ事やらかしてやろうかな
ゲンダイ社会への怨みと殺意を胸に
街をぶらぶら歩く
人を殺すために 電車に乗る
……ナイフ持ってなかった
っていうか 何も持ってなかった
目的を失って テキトーな駅で降りる
やる事ない
小さな公園のベンチにぼんやりと座っている
空が青い
陽の光が あたたかい
やさしい
気がついたら
泣いていた


●編集手帳

☆海外詩の特集からは、いつも力を得ています。各国の詩人や運動を紹介してくださる長沢美抄子、佐川亜紀、水崎野里子のみなさんに共通しているのは、〝人間として生きる権利、自由、平等、友愛、差別、権力への抵抗、闘い〟などを基にした強い意志です。
長沢さんが和訳された〝パレスチナ人の芸術家と知識人たちが作成した「アパルトヘイトに反対する書状」(全訳)〟を「詩人会議」に掲載、わが国で初公開できるのはうれしいことです。
石子さんの中国詩誌の現状も、例年とやや異なります。新型コロナウイルスとの戦いの作品が紹介されていて、中国社会の暗黒、人権にも詩人たちが目をむけていることが伝わってきます。
☆「詩人会議グループ誌作品集」は、8誌の作品を転載しました。他のグループ誌も、順次、紹介していきます。
☆「敵基地攻撃能力」を検討、などという現政権から、かつてのわが国の侵略戦争を肯定している思想がみえてきます。許していいのでしょうか!(秋村宏)

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