2022年12月号 特集 全国詩誌代表作品集84誌

2022年12月号 特集 全国詩誌代表作品集84誌


二〇二二年全国詩誌代表作品集

北海道・東北
阿字 佐野のり子 屋根の下の地図
朗読の会「漁り火」 滝本正雄 祈りの「茶」
ever clear あさぎとち デュアル・ディスプレイ
北の詩手紙 中川香 出会い
斜坑 海邊有盛 詩作
新詩脈 木村悠一郎 おじいちゃん
日本海詩人 あゆかわのぼる 峠の来歴
熱気球 安部一美 ピロリ菌
火窪 浜田とうへえ 残りの人生を
北極星 小林正明 平目

関東
ERA 高橋達矢 そっと
 福田美鈴 コロナ対策
炎樹 瀬野とし こわばる
雲の戸 山本萠 窓の緑
京浜詩派 須田利正 愛する人
国鉄詩人 山本みどり 発達障害って?
彩 はなすみまこと 闇
じしばり 太田章子 卒業式の朝
冊 玄原冬子 薄暑のころ
「しずく」の会 菊地めぐみ 赤いカーネーション
セントラー座 大石規子 鳩を食べる青年
ノエマ・ノエシス 高鶴礼子 わたしはあなたの
はがき詩信 池下和彦 おやすみ
花筺 昼間初美 ことばのふるさと
ヒーメロス 朝倉宏哉 白い靴
伏流水 うめだけんさく 焼け跡の夕景
澪 上山雪香 母への讃歌

東京
いのちの籠 うえじょう晶 ことばを覚える
櫟 鈴木太郎 向きあう時間
このゆびとまれ 大釜正明 馬と野原
さざんか 武山眞知 群がる
shinado 森泉エリカ 公園にて
指名手配 岩重桃平 あいさつ
1/2 辻下和美 トイレの神さま
三宅島ミニ通信・百人庵便り 都月次郎 たいせつなもの
む 小宮山佳子 皿を洗う

中部
鹿 中久喜輝夫 水の中のガラス瓶
ジャンクション 草野信子 九月
樹 小林義次 戦争の現実
水脈 なたとしこ 遠雷
独標 寺本まち子 ヤンさんの唄
新潟詩人会議通信 牧野ハラ 寂しくは、なかったですか。
狼煙 藤原睦明 コンクリートの壁の向こうに
野の草など 鈴木良一 亡き人へのオマージュ
はりみち のざきつねお 美しい空へのまなざし
沃野 古道正夫 新種

近畿
青い風 中尾彰秀 水
石の森 西岡彩乃 一方通行のトンネル
苺余果 藤の樹々 春恨の十五文字
イリヤ 左子真由美 パランテーズ
現代京都詩話会 田島廣子 ふたりの渚
軸 いしだひでこ 待ち合わせの午後
詩のもり たなかすみえ 核 核 然々
憧憬 三浦千賀子 訪問美容
朱雀 西田純 どこかで
鶺鴒 佐長詔子 早春
多島海 森原直子 道
手仕事 山川茂 いつになったら
トンビ 真田かずこ 本心
プラタナス 玉川侑香 「魚利」の犬
鉾 刀根蛍之介 ゼロ歳の記憶
PO 加藤廣行 今日また
ぽとり 武西良和 対話
窓 原久子 夢
三重詩人 須賀千鶴子 遠くの誰か
モデラート 岡崎葉 家なき詩人

中国・四国
あかきの 木村一彦 結婚
黄薔薇 上岡弓人 鳥の啼く朝
兆 やまもとさいみ 罪なきもの
創和文学会 あお 雨と私
ネビューラ 行吉正一 髭を剃る
ほのお 横田重明 塗り絵
ポエム・リーフ 坂本遊 眠る森
道標 増成順子 冬鳥
梨翠書 夏山なお美 未来は

九州・沖縄
あすら かわかみまさと 飛べない折り鶴
アビラ 後藤光治 山の少女
いちご通信 小野里佳子 墓標の歌
御貴洛 河野俊一 村の陰
詩創 桐木平十詩子 霾
筑紫野 國森伸 職業婦人
ながさき詩人会議 志田昌教 アートビレッジ・シラキノ
縄 松村睦夫 愛するもの
複眼 桜井くに子 お月様

ぶん文訪問記
野口やよいさんに聞く 詩の仲間と出会って 聞き手 森路敏

一般詩作品
尾田貢 若布
永山絹枝 記憶の木に眠る(1)
芝原靖 夕陽となっている人
宮武よし子 麦わら帽子
三村あきら よい日和
清水美智子 帰宅(西日本大豪雨)
柏原充侍 わがいとしき秋
浦西登 樹木と蝉と
田辺修 第九章 改正

エッセイ
峠三吉の晩年、二人への書簡資料 苦悩する心情をたどる  池田正彦

追悼
有馬敲さんの想い出  田中茂二郎

佐藤和英小詩集
肖像/アジフライ/銀杯/彩雲

詩の朗読について――まほろば平和音楽祭  熊井三郎

戦争に向かう流れを止める!  岡本厚

見る・聞く・歩く 宮武よし子

ひうちいし 清水マサ 岡耕秋 原圭治

私の推す一篇 2022年11月号

詩の実作教室
鍵をかける  竹井みよ子 ●講師作品批評  上手宰

四季連載
詩の見える風景・四度目の冬――私たちはいま、どこにいるのか  杉谷昭人

詩作案内
わたしの好きな詩 矢沢宰  遠藤智与子

詩作入門
野菜を届けている皆さんに  府川きよし

現代詩時評
しっかり泣き疲れて 上手宰

詩  集  評
人はそれぞれの峠を越え今へ辿り着く くらやまこういち

詩  誌  評
きょう最良のものを詩につないで 高田真

グループ詩誌評
散歩で見つける・元気とか優しさ 河合政信

二〇二二年自由のひろば最優秀作品・優秀作品
最優秀作品 滋野さち すれ違う
優秀作品  村口宜史 帰り道
大野美波 問い
橋本敦士 土手
坂田敬子 遠き日
選評 おおむらたかじ・草野信子・都月次郎

新基地建設反対名護共同センターニュース
詩人会議グループ一覧
詩人会議通信
読者会報告 11月号 秋山陽子
●表紙/扉カット/表紙のことば 宮本能成
編集手帳


●詩作品

若布  尾田貢

今日はよく採った
何度もうねりに引きずられ流されたが
四袋七十キロ程を庭に置く

漬物樽に満々と水を入れ
ウエット・スーツ ゴム靴下 安全靴
ゴム帽子 鉛付ベルト ゴム手袋 鎌
そして水中眼鏡の水洗い
風呂に入り 近くの六軒に若布を配る
夕食のあと明日の用意だ
若布の茎と葉を分ける作業だ
若布の根元を左手で掴み
出刃包丁を下に向け先に進め
茎と葉の線を切り離す
芽株は最初から切り落す
タライと樽にそれぞれ分ける
玄関の板敷に腰をすえ
眼は若布に集中
潮に濡れた若布は夜の電灯の下
飴色に光っている
妻と並んで無言の作業
二十三時三十分若布の葉が
盥いっぱいになった
芽株もバケツいっぱいだ
まだ多く残っているが
「やめよう」妻に声を掛ける
二十四時ワンタンメンを食べ床につく


●編集手帳

☆今年も猛威を振るったコロナ。二月にはロシアのウクライナ侵略、七月には安倍元総理の銃撃死事件が起きました。銃撃事件では政界と統一教会の癒着も明らかに。世界的に平和と民主主義が後退した一年として歴史に記されるでしょう。これらに立ち向かう力を蓄えたいです。
☆「全国詩誌代表作品集」に84誌のご参加をいただきました。ありがとうございます。全国からの優れた作品に触れ、詩の多様性と豊かさを感じています。
☆今年度の定期欄を執筆していただいた皆さま、一年間お疲れさまでした。来年度の担当は次の方々にお願いしました。
☆現代詩時評=北村真、立原直人。詩集評=北島理恵子、勝嶋啓太。詩誌評=黒鉄太郎、野口やよい。自由のひろば=中村明美、坂田トヨ子、南浜伊作。グループ詩誌評=あらきひかる、河合政信。会員詩集評=佐々木洋一、宇宿一成。表紙=冨田憲二(彫刻家)。
☆来年一月号は創刊60周年記念号です。先達詩人に感謝し、さらに豊かな詩誌を目指していきましょう。(柴田三吉)

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